グローバルな視点だけではない! 人生から学ぶ環境問題解決策
環境問題と山村
地球温暖化などの環境問題を解決するために、再生可能エネルギーの導入が推奨されています。日本でも太陽光パネルの設置が進められており、その多くが山村に作られてきました。
山村の住民は、木をはじめとする山からとれる資源を利用して生きてきました。しかし木の市場価格が低下したため収入が減り、赤字になりながら山を手入れしています。この状況を改善しようと、山の木を伐採して太陽光パネルを設置する地域も見られます。再生可能エネルギーを生み出せるだけでなく、太陽光発電事業者から得られた地代によって赤字を脱却できるからです。これは地球温暖化対策というグローバルな観点で見れば、効果的な取り組みとみなされるかもしれません。
生活への影響を考える
ところが、もし太陽光発電事業者との契約が打ち切られてしまった場合、山村には太陽光パネルを撤去した山、従来通りには資源を採取できない山だけが残されます。これでは山村で生活できず、土地から人が離れて山が荒れ果ててしまうでしょう。このように環境問題をグローバルな視点だけで解決しようとすると、長い目で見たときに地域や個人の生活が成り立たなくなる可能性があります。
人生に潜むヒント
環境社会学や村落社会学には、個人の人生を通して環境との付き合い方を研究する人たちがいます。その研究事例の一つが、岩手県の山村に住む山菜名人のおじいさんです。山から山菜を根ごと掘り起こして畑に植え替えて、地域の特産物として栽培しています。この山村には、鉱山開発やダム開発など、村外からの干渉によって自然が脅かされてきた歴史があります。山菜名人も何度も苦い経験をしていたため、山村の資源をうまく活用しながら自分たちで生活を守ろうと山菜栽培を始めました。その結果、山菜は次第に住民の収入源になっていきました。これは、人が地域の資源をうまく活用しながら、自然と共生する方法の一つです。ほかにも人々の人生から環境との付き合い方や、人としてのよりよい生き方を学ぼうと研究が続いています。
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