自然と調和した建築
環境と共生するまちづくりとは
20世紀の建築やまちづくりは、自然を切り開いて人工物を作る方法が主流でした。しかし21世紀になり環境問題やSDGsへの関心が高まると、建築やまちづくりの方向性が変化しました。まちの中に緑を取り入れたり、自然と調和した建物を作ったりする「環境建築」が求められるようになったのです。都市部でもヒートアイランド現象を緩和するために、まちを再開発する際は敷地に大きな緑地が設けられるようになってきました。
木の種類を間違えるとどうなる?
もし自然への影響を意識せずに植える木を選んだらどうなるでしょうか。例えば、かつては成長が早いという理由で緑化のために、北アメリカ原産のニセアカシアや中国原産のトウネズミモチなどの外来種が広く植えられ、もともとその地域にあった生態系を脅かしています。こうした事例をくり返さないように、環境や生態系への影響を考えて樹種を選ばなければなりません。環境建築では、緑化や庭に適切な植栽木を提案するために、建設予定地の地域にある在来種を調べたり、その中の候補木を植栽することによって、鳥や蝶など、どんな生き物がやっているのかも実際に調査して、検討していきます。
野生動物と共生するまちづくり
都市環境においては、野生動物が森から都市に移動してきたときの安全性も考慮が必要です。例えば知多半島では、環境建築の専門家と企業が協力して、キツネと共生するまちづくりが進められています。知多半島は、『ごんぎつね』の作者、新美南吉の故郷であるため、キツネを象徴とした生態系保護活動が行われているのです。そこで工場の中に、森と森をつなぐ動物用の通り道(アニマルパス)を作ったりするなど、近隣の里山と調和した建設計画を立てています。このように将来を見据えた緑化(生態系ネットワーク)活動が、産学連携で進められています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
日本福祉大学 工学部 工学科 建築学専修 教授 福田 秀志 先生
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環境建築、環境工学、生態学先生が目指すSDGs
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