女性が被害者の犯罪ニュースが多いのはなぜ?
数多く報道される女性被害者の事件
テレビや新聞、雑誌など、マスメディアで報道されている犯罪についての日々のニュースをみていると、女性が被害者となっている犯罪が、数多く報道されていることに気づきます。それらの事件の報じられ方も、女性被害者の容姿やプライバシーなどにかかわる情報が盛り込まれ、センセーショナルな内容に仕立てられている場合が少なくありません。
実際の統計では
警察庁などの行政機関が発表している統計を分析すると、日本国内での犯罪数は、近年は減少傾向にあります。被害者の男女比も、実は男性の割合が高く、女性の倍以上あるのです。もちろん、警察に被害届が出されていない性犯罪なども数多く存在しています。しかし、マスメディアで報道される女性が被害者の犯罪の数と実態との間では、少なからぬ食い違いが生じていることがわかります。
犯罪の報道は、警察発表による情報のほか、各メディアの記者たちが取材を通じて得た情報を基に、マスメディアがニュースバリューを判断して、どの事件を優先して報道するかを判断します。その際に、マスメディアの中で「女性が被害者である事件の方が注目される」というバイアスが働いていることが、犯罪の実態との食い違いが生じる結果につながるといえます。それらの報道で女性被害者のプライバシーが必要以上に報じられてしまう傾向にあるのも、マスメディア側がニュースバリューを優先することが原因と考えられます。
社会とマスメディアの意識改革が必要
こうしたアンバランスな状況を改善するには、私たちの社会のさまざまな場面に存在するジェンダーのギャップを一つひとつ解消していくように働きかけて、ジェンダーに対する私たち自身の認識やアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)を改めていくことも必要になります。また、そもそも犯罪についての報道は犯罪を抑止したり、被害者を救済するためのものでなければなりません。どのような情報を報道すべきか、マスメディアの側にも、ジェンダーや個人情報に対する意識改革が求められます。
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先生情報 / 大学情報
宮崎公立大学 人文学部 国際文化学科 メディア・コミュニケーション専攻 教授 四方 由美 先生
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