講義No.14782 教育 児童学

幼稚園での「遊び」が小学校での「学び」につながる

幼稚園での「遊び」が小学校での「学び」につながる

同じ遊びの繰り返しはつまらない

幼稚園児は、遊びを通していろいろな経験をしています。その経験は、小学校での学びの基礎となります。せっかく経験したことが学びに生かされないとしたら、それは非常にもったいないことです。
例えば、幼稚園でどんぐりを紙コップに入れてマラカスを作った経験があるとします。そのことを小学校の先生が知らずに、「どんぐりでマラカスを作る」という授業をしたら、「そんなの幼稚園でやった」「また同じことをやるなんてつまらない」と思う子もいるでしょう。それは子どもに「勉強=つまらない」という意識を植えつけて、学ぶ意欲を奪ってしまうことになりかねません。

子どもの知識欲を刺激するには?

では逆に、小学校の先生が幼稚園での経験を把握していたらどうでしょうか。子どもに、「幼稚園ではどんぐりを何個入れた?」「どんぐりはどんな形だった?」と聞くことができます。そのうえで、「じゃあもっとたくさん入れたらどんな音がするのかな?」「形の違うどんぐりならどうだろう?」と、さらに探究の幅を広げて、より深い学びにつなげていくことができます。
子どもは大人が思う以上に知識欲にあふれています。すでに経験したことを元に、そこからさらに未知の領域へと導くことで、生き生きと自主的に学ぶようになるのです。

幼稚園での経験を学びに生かす

幼児教育と小学校教育をつなげる「幼小連携」は、これまでは小学校生活にスムーズになじむための適応指導が中心でした。しかし、今は学びの連続性が重要視されており、文部科学省でも「架け橋プログラム」として指導計画作りが進められています。
どんぐりの例のほかにも、幼稚園で芋掘りをしてみんなでサツマイモを分けた経験は、小学校の算数の「大きな数の数え方」に通じています。「やおやのおみせ」という手遊びは、国語での言葉の「上位概念・下位概念」に通じています。現場の先生には、幼稚園での遊びを念頭においた子どもとの接し方、指導の仕方が求められているのです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

群馬大学 共同教育学部 共同教育学部附属教育実践センター 教授 安藤 哲也 先生

群馬大学共同教育学部 共同教育学部附属教育実践センター 教授安藤 哲也 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

教科教育学、初等中等教育学

メッセージ

私の経歴は少し特殊で、幼稚園、小学校、中学校、聾学校、特別支援学校の教員を経験してきました。今はその経験を生かして、現場の教師の視点から「幼小連携」の効率的な進め方を研究しています。学生時代の私は、真面目・責任感が強い・成績優秀といった、一般的にイメージされる「教師らしさ」は全く持ち合わせていませんでした。それでも子どもと関わることは得意で、そのセンスを信じて教員になったのです。あなたにも得意とする分野があるはずです。自分の持つその特性を信じて、進むべき道を選んでみてください。

群馬大学に関心を持ったあなたは

群馬大学は北関東を代表する総合大学として、優れた人材を育成し、学問の研究と応用、福祉への貢献など、社会的使命を果たすことを特色としています。「社会のニーズに配慮しつつ細分化から総合化へ」という理念を研究面、及び教育面に具体的に実現させ、「研究活動面における社会との連携及び協力」に高く評価される形となって生かされています。