国際的に受け入れられ、影響を与える日本のマンガ

国際的に受け入れられ、影響を与える日本のマンガ

「クール・ジャパン」現象の中で

日本のアニメやマンガなどが海外で評価される「クール・ジャパン」という現象がマスメディアをにぎわしています。実際に海外での日本のアニメやマンガの状況を見ると、単純に経済効果として売り上げが伸びているだけではなく、確実に日本の文化への理解が深まっているのがわかります。その影響の一つはアニメやマンガをきっかけに日本語を学ぶ人が増えてきたことです。日本語は文法も難しく、日本国内でしか使われていない特殊な言語であるにもかかわらず、日本の文化が好きだから学びたいという人たちがいるのです。今後、世界の中での日本の位置を考えていく上で、文化が大きな力を持つ可能性を示す現象と言えます。

どんなマンガがウケている?

日本のマンガが海外で人気と言っても作品によって受け入れられ方は異なります。『ドラえもん』や『SLAM DUNK』はアジアでは人気が高いのですが、欧米では今ひとつです。アジア、欧米ともに圧倒的に人気が高いのは『NARUTO―ナルト―』です。これは忍者もので、しかも金髪碧眼の「ハイパー忍者」であることの要因が大きいと考えられます。忍者や侍という存在は日本文化に対するエキゾチシズム(異国情緒)を刺激するのでしょう。正統派の侍を描く『バガボンド』よりも、欧米文化になじみやすい部分のある『NARUTO』のバランスが欧米人にとっては絶妙であり、心に響くようです。

複雑な各国の文化を反映して

国によっても日本のマンガの流通の仕方は違っています。シンガポールには英語訳のものと中国語訳のものが入ってきますが、中国語訳のマンガは台湾から輸入しています。一方、インドネシアでは香港から輸入されたマンガが目立ちます。同じ中国語圏のマンガでも、国と国との関係が影響し、位置づけが異なるのです。
また日本のマンガの影響を受け、自分たちで作品を作ろうという動きも世界中で出てきています。日本のマンガスタイルを継承しつつ、その国の文化と融合する形で新しい作品が生まれていく、そんなことも期待できます。

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先生情報 / 大学情報

明治大学 国際日本学部  教授 藤本 由香里 先生

明治大学 国際日本学部 教授 藤本 由香里 先生

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文化経済学

メッセージ

いろいろな文化について、「一体なぜこのような形になっているのか」「いつ頃からこういうふうになったのか」を考えることで、その深さが見えてくるものです。世界中のどの国に行っても、日本人とわかればマンガについて聞かれることがあるほど、マンガは今、一つの大きな文化になっています。マンガには歴史や社会、文化的な蓄積など、さまざまなものが反映されています。マンガに触れ、なぜそうなのか、「どこ」と「どこ」がつながっているのかなどを考えていくと、その深い世界の入口が見えてきます。

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