育児不安の軽減に向けて、保育×ソーシャルワークで保護者支援

育児不安の軽減に向けて、保育×ソーシャルワークで保護者支援

育児不安・ストレスの高まりが児童虐待を招く

児童虐待は子どもの心身や発達に多大な影響を及ぼします。人間関係がうまく築けない状態や自己肯定感の維持が難しくなったりと、その後の成長に大きな影響を及ぼし、重大なケースでは子どもの命を脅かすことになります。児童相談所への相談件数が激増している今、虐待防止対策は急務です。なお、虐待発生の背景には複合的な要因があるとされますが、中でも保護者の育児不安やストレスが高まると虐待につながる傾向が強いことがわかっています。保護者の育児不安・ストレスを軽減し、蓄積しない状態をつくることが虐待防止に効果的です。

園への相談窓口につながらない保護者

小さい子どもと接した経験が乏しいまま親になる現代の保護者の育児は、戸惑いだらけです。育児に関する悩みや不安を抱える保護者が周囲に気軽に相談できる相手がいない場合は、孤立しがちです。保育園を利用している家庭であっても「担任の先生が忙しそう」といった遠慮から、多くの保護者が「園に相談したいができない」状態にあることが調査からわかっています。そこで現在、保育園を利用する家庭を対象に、保護者の育児不安の軽減にアプローチできる相談支援の体制づくりに関する研究が進んでいます。

保育ソーシャルワークの重要性

保育園での体制づくりは2段階に分けて進めることが求められます。第1段階は、園は「子どもの育ちを支える、子育て支援の場」であることを保護者に周知するとともに、保護者が気軽に相談しやすい環境を整えることです。その上で第2段階では、保護者による相談内容から明らかとなった育児や生活課題を、必要に応じて外部の専門機関と連携しながら適切に対応できる体制を整えます。この実現には、保育者自身がソーシャルワーク(相談支援)についての知識や技術を身に付けておくことが望まれます。近年、日本保育ソーシャルワーク学会が発足し、現職保育士や保育・福祉分野の学生が、保育の現場でのソーシャルワークについて体系的に学べる環境が整ってきているところです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

周南公立大学 人間健康科学部 福祉学科 准教授 竹下 徹 先生

周南公立大学人間健康科学部 福祉学科 准教授竹下 徹 先生

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子ども家庭福祉学、地域福祉学

先生が目指すSDGs

メッセージ

保育園や幼稚園くらいの子どもは、人生で一番成長する時期にあります。今の高校生には子どもと関わる機会がほとんどないと思いますが、あなたにもぜひ子どもたちの貴重な時期に直接立ち会い、その純粋さや魅力にふれる経験をしてほしいです。福祉施設でのボランティアなど、高校生でも子どもと関われる現場はたくさんあります。じかに触れあってみることで、心にグッとくるものがあったり、新しい発見が得られたりします。そうして、子どもの育ちを支える仕事の楽しさを感じてもらえればと思います。

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周南公立大学は、自己や地域社会のWell-being向上に貢献できる人材を育成します。
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