情報技術を活用し、児童相談所で働く職員たちを支援!

情報技術を活用し、児童相談所で働く職員たちを支援!

児童虐待の課題解決に情報技術を活用

児童虐待の件数が年々増加する中、それに対応する児童相談所や子ども家庭センターの職員たちの異動や傷病による休職が後を絶ちません。その大きな要因が、ストレスを感じやすい労働環境です。そのため児童虐待の課題を解決するには、職員たちを業務上のストレスから守ることやスキル向上のための支援を行うことも重要です。その一つのアプローチとして、「VR」や「心拍変動解析」といった情報技術を活用した研究が行われています。

VRを使った保護者面談のロールプレイ

ゲームで使われるイメージが強いVRですが、児童相談所や子ども家庭センターの職員たちのスキルアップを目的に、保護者面談のロールプレイができるVRのシミュレーターが開発されています。ロールプレイは職員が保護者役と職員役に分かれてそれぞれVRゴーグルを装着し、仮想空間の中でアバターとなって行います。そのため、たとえ同じ職場のよく見知った職員同士でも、まるで実際の面談の場にいるかのような没入感や緊張感の中で研修を行うことができます。実際にVRでのロールプレイ中の心拍変動を解析した結果、対面で実施したときと同じくらい心拍数が上昇することなども検証されており、同程度の効果が得られることがわかっています。VRでのロールプレイなら、離れた場所でも効果的な研修ができることや、録画してデジタル教材として活用できることもメリットです。現在すでに研修のプログラムとして取り入れている児童相談所もあります。

分野を横断した研究で児童虐待の課題解決を

そのほかにも、児童虐待の疑いがある家庭に実際に訪問する際など、職員が小さなチップを身に付けて心拍変動を計測することで、ストレスマネジメントにつなげようとする研究なども行われています。このように、児童福祉の分野にVRや心拍変動解析といった技術・知識を取り入れながら、児童虐待の課題解決に向けたさまざまな研究が続けられています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

東京都市大学 人間科学部 人間科学科 准教授 宮川 哲弥 先生

東京都市大学 人間科学部 人間科学科 准教授 宮川 哲弥 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

児童福祉学、VR技術開発

先生が目指すSDGs

メッセージ

私はもともと児童福祉の現場で働いていて、児童虐待の課題を解決するには職員たちの支援や育成が必要だと感じたことが、研究を始めるきっかけになりました。現在は、本学のVRや医療の分野を専門とする先生方の協力も得て研究を進めており、人間に関するあらゆることを分野横断で探索する「人間科学」の面白さを実感しています。人間科学に興味があるなら、大学入学までにぜひたくさんの人に会ってほしいです。さまざまな人に会った経験から好奇心が生まれ、人を研究する上での基礎力が育つはずです。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

東京都市大学に関心を持ったあなたは

東京都市大学は2009年4月に武蔵工業大学からへ校名を変更。新たに文系2学部、理系2学部、文理複合系1学部を擁する総合大学として発足しました。前身の武蔵工業大学は80年の歴史を持ち多くの卒業生を輩出、日本の産業発展に貢献して来ました。97年には文系・理系複合の環境情報学部、09年には文系の都市生活学部と人間科学部を設立し、工学部から分かれた知識工学部を加えて学問の分野が大きく広がっています。80年の歴史を携え、キラリと光る特徴をもち存在感のある大学を目指す東京都市大学は、常に進化を続けています。