これからの社会で、子どもが幸せになる保育とは?

これからの社会で、子どもが幸せになる保育とは?

変わる保育の常識

あなたが保育園児や幼稚園児だったときにイヤだと感じていたことが、今では保育でしてはいけないことになっているかもしれません。昔は「給食を残さず食べる」「昼寝をする」ということが当たり前でしたが、今では子どもによくない影響があることが調査・研究によりわかっています。「眠たくない」という子どもに無理やり昼寝をさせ続けると、夜の睡眠の質が下がり、その影響が小学校高学年になっても続くというデータがあります。

保育は社会科学

保育の基本を定めた「保育所保育指針」には、「保育は個に応じる」と繰り返し書かれています。現場で働く保育士も、子どもたち一人一人に応じることの大切さを知っています。しかし例にあげた昼寝のように、本当に必要なのか検証されないままに一律で行われている習慣も多いのが実情です。
19世紀に始まった工業社会(ソサエティ3.0)では、指示にしたがって動ける人材が評価されました。当時は子どもの権利を尊重するという意識が社会全体として薄く、その価値観が幼児教育にも影響を及ぼしたのです。しかし保育は「社会科学」です。調査・研究により得られたエビデンスに基づいて、また変容する社会に合わせて新しい保育をデザインし、やり方を変えていく必要があります。

遊びを通して、自らを幸せにする力を育む

保育とは今子どもが幸せであること、そして将来自分で自分の幸せをつくる力をつけることです。そのために必要なのが、豊かな経験です。子どもたちは遊びを通してさまざまなことに気づきます。植物や昆虫を観察して自然の法則を知り、泥遊びをしながら土を掘って水を引き、文明の始まりを再現します。保育士に求められるのは、環境を整えて子どもたちの気づきを待つことです。
これからの子どもたちが生きていくのは「ソサエティ5.0」です。人の仕事の多くをAIが担うとされる社会で、大切なのは人ならではの個性であり、自分自身を尊重して主体的に生きていく力です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

植草学園大学 発達教育学部 発達支援教育学科 幼児教育・保育コース 教授 小川 晶 先生

植草学園大学発達教育学部 発達支援教育学科 幼児教育・保育コース 教授小川 晶 先生

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社会福祉学、子ども家庭支援論

先生が目指すSDGs

メッセージ

赤ちゃんは、生まれたときから一人一人がとても個性豊かです。あなたの中にもきっと、人とは違う個性があるはずです。今はその自分らしさを表に出さないようにしているかもしれません。でも、社会は一つの価値観で動いているわけではありません。人とは違うと感じている部分こそがあなたの持ち味です。どうか捨てずに、大事に育てていってください。身の回りの小さなことでも、「自分はこう思う」「自分だったらこうしたい」と考えてみるようにすると、きっと将来役に立つでしょう。

先生への質問

  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

植草学園大学に関心を持ったあなたは

誰かの力になりたい、誰かを笑顔にしたい。植草学園大学のキャンパスは、そんな思いであふれています。ここでこれからみなさんが手にするのは、"インクルーシブ”というすべての人を包み込むやさしさです。世の中を便利にする力ではないかもしれないけれど、目の前の誰かを幸せにすることができる力です。障害のある人にもない人にも、すべての人にやさしく。植草学園大学の学びの特長は"インクルーシブ”です。人がその存在を大切にされ、多様な人と共に生きる。共生社会の実現をめざし、"インクルーシブ”を学び、実践する大学です。