経営学は現代社会のさまざまな課題と格闘しています!
経営学の成立・発展と「組織社会」の台頭
20世紀以降の現代社会が「組織社会」と呼ばれるようになって久しいですが、こうした現代社会を支える重要な存在が、企業のような営利組織体や、行政、学校、病院、家庭、ボランティアなどの非営利組織体です。つまり、私たちの生活は多様な組織体との関わりを抜きにしてはあり得ないということです。経営学は、こうした組織体を研究対象の中心に据え、「組織社会」の台頭とともに展開してきました。
組織体は、それを取り巻く自然環境、社会環境、人間環境との調和をはかることで、その存続も発展も可能となります。私たちと同様に、組織体は環境によって生かされつつ生きています。ところがこれまでの経営学は、“環境によって生かされている”側面を軽視する傾向にありました。経営学は、組織体の目的をいかに効率よく達成するかという問題に大いに関心を集めてきました。その結果多様な環境を、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報など)を獲得するための手段と位置づけ、その徹底的に効率的な活用が課題として意識されてきたのです。
今求められる「経営を哲学する」という視点
こうした、自然環境を軽視するところに自然環境破壊を、社会環境を軽視するところに多様な社会問題を、そして人間環境を軽視するところに過労死やサービス残業、職場における精神疾患の蔓延や「派遣切り」などに象徴される人間性の危機を、結果として産み出してきたと言えます。いま改めて、私たちにとっての経営・管理や組織体の意味を、根本的に問うことが要請されています。そのことが現代社会や組織体を、ひいては<いま・ここ>に生きる私たちのあり方・生き方を、問うことにもなります。こうした態度を経営哲学研究と呼び、現代社会の課題に応えるための研究が盛んになってきています。こうした研究のさらなる具体化として、本学では「組織体とそれを取り巻く自然環境、社会環境、人間環境との調和ある発展」をめざす「環境経営論」の構想が進められています。
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