人間の脳とコンピュータをつなぐ技術
頭で考えた内容をそのままコンピュータに入力
コンピュータへの入力方法の一つとして、人間の脳波を取り出しその情報をコンピュータにインプットする、BCI(ブレイン・コンピュータ・インタフェース)という方法があります。キーボードやマウスを使わずに、頭で考えた内容をそのままコンピュータに入力するのです。SFみたいな話ですが、現在では実現の可能性が出てきています。
実験では、被験者に脳波を読み取るセンサーをつけてもらいます。そして、「右手」「左手」「それ以外」というボードを用意し、被験者に見せます。「右手」のボードを見せた場合は右手、「左手」の場合は左手で握手するイメージを頭に描いてもらいます。それ以外の場合は、何もイメージしません。頭につけたセンサーで、その脳波を読み取ることを繰り返すと、脳波の波形に一定のパターンが表れます。それを数値化することで被験者がどちらをイメージしているかを判断します。そのイメージの内容をディスプレイに表示することも可能です。
脳の複数の部位からデータを取得
ただ、問題点があります。脳波センサーはα波とβ波を取り出していますが、2つの波形だけではイメージの精度が上がりません。そこで、脳波の種類ではなく、脳波の発注元である脳の部位を複数選び出し、それぞれの活動の有無を脳波から読み取り、活動部位の組み合わせで被験者のイメージを判断する方法が研究されています。この方法だと、波形の形を読み取るあいまいさを排除できるだけでなく、組み合わせパターンも数多くあるので、いろいろなイメージに対応できるはずです。実は、この研究は「筋萎縮性側索硬化症」のような全身の筋肉が動かない患者と意思疎通をするために始まりました。しかし、今ではそれにとどまらず、脳の神経細胞の働きを解明する方向にも進みはじめています。脳の部位の関係性は、その関係の強度を含めて微細なデータ取得が可能です。またその関係性は時間によって変化します。このようなデータの解析が進めば、脳が働くメカニズムが明らかになるかもしれません。
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九州工業大学 情報工学部 生命化学情報工学科 教授 山﨑 敏正 先生
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