長期にわたって利益を確保するのに必要な経営戦略

長期にわたって利益を確保するのに必要な経営戦略

なぜ会社には経営戦略が必要なのか

あなたのお父さんやお母さんは会社に行っていますか。その会社は何を売っている会社か聞いたことがありますか。
会社とは、有形無形の商品をお客さんに買ってもらい、売っている値段から費用を引いた額を利益として成り立っています。
そのためには、お客さんの志向がどういうふうに変わっていくのか、また、競争相手がどのように追い付いてくるのかを考えなくてはいけません。
それも、10年、15年先の会社の健全性を見据えた上でないといけません。なぜなら、設備の問題があるからです。「ある機械を入れたけれども1年でお客さんの志向が変わってしまいました」というのでは、会社などあっという間につぶれてしまいます。1度機械を入れたら、5年や10年は使い続けなければいけません。人に関しても、1度雇ったら簡単には解雇できません。
このように、長期的に利益を確保し成長するためには、お客さんの志向やライバル会社の動向(これを環境と言います)を分析する必要があります。

経営戦略には分析と予測が重要

多角化した大規模な企業では、今すぐ利益につながらなくても、お金を使います。「3年後に商品になりそうなものの研究に20億円投入」「お客さんがわが社に抱くイメージをアップしてもらうために広告費を多く支出」「新製品の工場建設に3500億円投資」といった複数の判断をします。これを「資源配分」と言います。
長期にわたって多くの人が仕事をするためには、企業は、環境を分析・予測し、何が必要になるかを考え、そのための準備をしたり、特定分野に重点的に投資をしたり、人材を育てたり、どう運営計画を立てるかを考えます。このプラン全体が経営戦略です。

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先生情報 / 大学情報

一橋大学 商学部  教授 沼上 幹 先生

一橋大学 商学部 教授 沼上 幹 先生

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経営学、社会心理学

メッセージ

商学部というと、「お金もうけを勉強するところ?」と思うでしょうか。それは違います。では何を考えているかというと、「みんなの努力が無駄にならないためにはどうすればいいか」ということです。もうかるかもうからないかだけが価値の物差しになっているわけではないのです。
また言えるのは、基礎学問を企業の経営に応用しているということです。社会心理学や歴史学は文学部に行かないとできない、と思うのは間違いで、実は商学部でも学べます。経営組織論や経営史は、分析の対象を企業とした社会心理学・歴史学です。

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一橋大学の大きな特色として、まず第1に挙げられるのは、我が国で最も伝統のある社会科学の総合大学として、常に学界をリードしてきたという長い歴史と実績、並びにこの伝統を受け継ぎ、人文科学を含む広い分野で、新しい問題領域の開拓と解明を推進する豊富な教授陣に恵まれていることです。第2は、商学部・経済学部・法学部・社会学部の垣根が低く、学生は各学部の開設科目を自由に履修することができます。また、10人から15人程度の少人数で行われているゼミナール制度(必修)を核とする少数精鋭教育も本学の特色のひとつです。