経営は万物に通ず
商品の裏に経営学あり
たまたま目に飛び込んできた看板めがけて駆け込む。注文を告げるとほどなくしてアツアツのハンバーガーの登場。後ろには行列が続くけど、どうやら売り切れの心配はなさそうだ―1971年にマック1号店が銀座に開店した時ならいざ知らず、今ではどこででも見かける街の一風景です。しかし、改めて考えると、これは人類の英知が結集された奇跡にも近い営みとも言えるのです。
1日に何個のハンバーガーを売り、そのための材料をどこの国の、どの地域から、どれくらい調達すればよいか。さらには、それをどういうルートを使えば早く、安く持ち込めるかといったことなど、目には見えなくても、気の遠くなるような数の人間を介し、また、複雑な過程を経てようやく実現できることです。そして、当然これらの活動がスムーズに進行するように管理をする必要も出てきます。それを考えるのが経営学の役割なのです。
経営は会社に限らない
経営学が活躍する場は何も会社だけに限ったことではありません。国家、軍隊、果ては家族まで、経営を考えなければならないことは他にもあります。組織があり、その効果や効率的な運営を期待するならば、いかにうまく経営するかを考える必要が出てきます。また反対に、国や軍隊などを運営するために作り出されてきた知識は、企業を経営するために重要な役割を果たします。例えば、普仏戦争でプロイセン軍を率いたモルトケ将軍は、軍隊の世界に参謀本部を持ち込みました。その参謀本部をモデルにして、企業の経営企画室などのスタッフ部門と呼ばれる部署が作られるようになったのです。
モルトケは参謀本部を設け、効率的に兵隊を輸送する計画を作り、その実現のために鉄道を巧みに利用しました。今では当たり前のことでも、当時としては革新的なことでした。
現代の職場で経営の中枢に関わるスタッフが「参謀」とか「企業参謀」などと呼ばれるのも、実はモルトケ将軍が編み出した“経営手法”の名残と言えます。これはほんの一例ですが、“経営”はその姿かたちを変えながらもさまざまな分野に関わっているのです。
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