競争相手のいない市場で勝負する
新しい楽しみ方を提供する
Wiiは、リモコンをコントローラーとして楽しむ画期的なゲーム機です。また、iPodは、ダウンロードした音楽を気軽に持ち運び、パソコンで編集もできる、まったく新しいミュージックプレイヤーです。これらに共通しているのは、意味的価値。それまでにない楽しみ方を消費者に提供しています。ライバル社が画像処理能力の速さや音質の美しさなどの機能性で勝負しているのに対して、商品のコンセプトや価値で対抗しています。これは「ブルーオーシャン戦略」と言って、自分だけの静かな青い海を意味し、競争相手がいない市場で商品やサービスを展開しています。競争相手がいないので、企業にとっては利益を上げやすくなります。
それに対して「レッドオーシャン戦略」があります。これはまさしく血の海で、食うか食われるかの競争市場という意味です。例えばデジタルカメラでは、これまで画素数を競っていましたが、お客さんがもうこれ以上の画素数は必要ないと考えると、値下げの価格競争になり、企業の利益が少なくなります。
企業の遺伝子に組み込まれている
多くの企業は、ブルーオーシャン戦略を考えていますが、今までにない価値を生み出すのは簡単ではありません。Wiiを開発した任天堂も、突然ブルーオーシャン戦略がとれたわけではなく、それまでのゲーム機にも、コントローラーの形や振動パックなど新しい価値を発表していました。アップル社も、これまでも時代をリードする価値を追い求めてきましたが、そのすべてが成功してきた訳ではありません。しかし、企業としての遺伝子に、意味的価値を見つける姿勢が組み込まれているといえます。また任天堂やアップル社は専門企業であり、特定の分野に集中できることも要因のひとつです。一方、日本の多くの家電企業はレッドオーシャン戦略で競争し、利益をなかなか上げられない状況になっています。こうした問題の解決は、企業の人々のみならず、経営戦略などに関する研究者の重要な課題です。
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先生情報 / 大学情報
南山大学 経営学部 経営学科 准教授 上野 正樹 先生
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