エコツーリズムとグリーンツーリズム
農山村の豊かな素材を生かす
わが国の地方、とりわけ農山村には多面な資源があります。豊かな自然はもちろんですが、新鮮で美味な山菜、おいしいお酒や水、神楽(かぐら)をはじめとした伝統芸能など、都会にはないさまざまなものがあります。ただ、住む人がどんどん減ってきて衰退の一途をたどっているのです。そこで、それぞれの集落にある素材を活用して交流人口を増やしグリーンツーリズムを推進しよう、そしてそれを地域振興につなげよう、それを一つのきっかけとして農林業の復興にも絡めよう、そんな動きが今、全国の農村で始まっています。
エコツーリズムとグリーンツーリズムの違い
「グリーンツーリズム」という施策があります。エコツーリズムと似ている言葉ですが、根本的な考え方が違います。グリーンツーリズムはあくまでも農村活性化政策のひとつです。農業だけでは存続できない農村をどう再生するかということです。
グリーンツーリズムは、イギリス、フランス、ドイツなど欧州で始まったもので、農村活性化のために、食糧生産以外の農村の機能に注目したものです。ドイツでは第二次大戦後、負傷兵たちを農村に長期間ステイさせたことがきっかけになりました。また、温泉がある地域ではのんびり温泉に浸かるということが心身の回復に非常に効果的でした。そこで、病院を数多く建てるだけではなく、農村における癒やしの効果を活用しようということになりました。その後、都市の一極集中化により都会生活者が農村で週末をのんびり過ごすようになりました。農村では、余っている納屋などをリフォームして宿泊施設として提供するようになりました。こうした流れで生まれてきたのが、グリーンツーリズムなのです。
一方、エコツーリズムは、持続可能な自然資源の利用という発想が元にあります。環境に配慮しながら、地域振興も行い、環境教育にも役立つ施策。従来のマスツーリズムとは対極にある自然に優しい観光、それがエコツーリズムです。
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