究極を探る。ビッグバン直後の状態からわかることとは?
ビッグバン直後の宇宙を探る
現代科学では、理論と観測結果から宇宙はビックバン(宇宙生成時の大爆発)から始まったと考えられています。約137億年前、ビッグバンは起こりました。
ところで、この直後の状態はどうだったのでしょうか? 直後といってもほんの一瞬、数字で言うと100万分の1秒後から数十万分の1秒後の宇宙の状態がどうなっていたのでしょうか。これを見極めることで、ミクロの世界を解明しようという研究が世界中で行われています。
まず、原子は原子核と電子からできています。原子核は陽子と中性子からできています。では、陽子は何からできているのか? それは、クォークとグルーオンと呼ばれる「素粒子」からできているのです。素粒子というのは、それ以上分割できないと考えられる究極に小さい粒子のことです。ちなみに、電子も素粒子のひとつだと言われています。
ところで、陽子を分解しようという実験が行われていますが、今のところ分けることができていません。理論的には陽子の中にクォークが3つ入っていることがわかっているのですが、陽子を分解しようとすると、分かれる瞬間に新しい粒子が出てきて2つになる。ですから、クォークが単体で存在することはないとされています。
しかし、ビックバン直後の状態は、クォークとグルーオンが単体で飛び回っていると考えられていて、その状態を研究することでクォークの閉じ込め問題などを解決できるのではと考えられています。
クォーク・グルーオン・プラズマ
ビッグバンの直後は、超高温で超高密度の状態だったということがわかっています。だいたい摂氏10億度以上と考えられている世界です。この状態であれば、クォークも単体で自由に飛び交っています。理論的にはこう考えられています。クォーク・グルーオン・プラズマ(QGP)という、いわば普通のプラズマとは違う性質を持つものですが、この究極の状態を人為的に作り出して、仕組みを解き明かそうという実験が米国や欧州で重ねられているのです。
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