外国人に日本語を教えるときに大切なこと

外国人に日本語を教えるときに大切なこと

「日本語教育」と「国語教育」は同じではない

日本語教育というのは、日本語を外国語として学ぶ人に対する教育のことで、私たち日本人が学校で受けてきた「国語」とは、少し違います。日本語を全く知らない人に、システマティックにわかりやすく教えるにはどうしたらいいか、という観点から考えられているからです。例えば、品詞の分類が違い、形容動詞がありません。「て形(てフォーム)」という動詞の変化も、独特です。「来て、食べて、飲んで……」、と日本人は当たり前のように使います。「て」の変化は、日本語を知らない外国人からすると、とても難しいのです。ほかの変化は、語幹は同じで語尾を規則的に変えるだけですが、この「て形」は変化の形が複雑でわかりにくいのです。

外国人には理解しにくい感情を含む表現

受身形も、外国人にとっては難しい文法の一つです。例えば、「ジュースを飲まれた」と言う場合、そこにはちょっといやなことされた、というような迷惑を被ったという感情が含まれています。これも外国人には理解しにくいものです。私たちにとっては何気なく使っている表現が、外国人にとっては理解しにくいということがあります。ですから、日本語を教える場合、まずは日本語を学ぶ際に外国人がどこでひっかかるのか、どこがわかりにくいのかに気づくことが大切です。

教わる人の状況やニーズに合わせた教授法を

日本語を教える場合のアプローチ方法も、いろいろあります。まずは文法から教える方法、文法はやらずに日常会話から入っていく、あるいは場面設定をして会話と文法を学ぶというやり方もありますが、どんな人が何の目的で日本語を学ぼうとしているかによって、教え方も変わってきます。例えば、日本語を知らない外国人の子ども、留学生、すぐに日本語で仕事をしなくてはいけないビジネスマンでは、状況が違ってきます。その人のニーズに合った教え方をすることが大切です。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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国際教養大学 国際教養学部 日本語プログラム 准教授 阿部 祐子 先生

国際教養大学 国際教養学部 日本語プログラム 准教授 阿部 祐子 先生

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メッセージ

私は、大学卒業後、一般企業に3年半勤めた後、イギリスに1年間ホームステイしました。いろいろありましたが、そこでの生活は本当に刺激的で、それまでの価値観が大きく変わりました。そして、異なる文化を持つ人たちと交流する楽しさや難しさを実感し、日本語教師になることを決めたのです。異なる国の人たちと話すといろいろな発見があり、自分自身を見つめ直すきっかけにもなります。機会があれば、積極的に外国人と話をしたり、海外に行ってみたりしてください。

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国際教養大学の挑戦―それは、従来の日本の大学では実現が難しかった課題に向けて「国際教養」という新しい理念を掲げ、その特色を最大限に生かし、グローバル化が進む国際社会を舞台に存分に活躍できる優れた人材を養成することです。本学では斬新な教育プログラムに可能性を見い出した個性的な学生たちが、全国各地から集まっています。「ありきたりの大学生活では物足りない!」と考えているみなさん、「壮大な夢を抱く仲間たちとともに輝いてみたい!」と願うみなさんは、ぜひ一度本学を訪れてください。