知られていない日本画
日本画とは
あなたは「日本画」と聞いて、どのような絵を思い浮かべるでしょうか。浮世絵や水墨画でしょうか。
日本画とは、主に「岩絵具(いわえのぐ)」という顔料を「にかわ」で練って描くものです。「顔料」は、人工のものもありますが、本来は天然の鉱物からできています。例えば水晶を砕いたものは白色として使われます。赤サンゴを砕くときれいなピンク色になります。ホタテや牡蠣(かき)などの貝殻から作られる胡粉(ごふん)と呼ばれる白色の顔料は、雛人形の顔の下地などにも使われる、最も伝統的な白色です。これらの顔料を、動物の骨や皮から抽出した「にかわ」と呼ばれる接着剤で練り合わせ、和紙や絹などの画面に描いていく技法です。
日本画の歴史
日本画というのは、明治時代の欧化政策の中で、さまざまな事情の中から作られた言葉です。油絵が日本に入ってきて西洋画と呼ばれ、それまであった大和絵などの日本絵画を整理し、対応する言葉を作る必要があったのもその一つです。
それ以来、日本画と洋画は発想や表現方法でも影響し合い、その定義や相違点についての論議は続いていますが、日本画家たちは、ひたむきに描くことを通して日本画における「伝統性」と「革新性」に向き合っています。
大学から始める日本画
全国の美術系大学で日本画を学ぶ学生の多くは、入学してから「日本画」を描きはじめています。
小学校や中学校、高校で日本画を描く機会に恵まれた経験者はほんのわずかです。それは、指導者が少ないことや、チューブ入り絵具を使う授業に比べ手間と費用がかかることが理由かもしれません。したがって入学試験も岩絵具では描きません。
「描くこと」ではなく、「見ること」から日本画を知った学生が日本画を選ぶ理由の一つに、画材の魅力があります。岩絵具を使った日本画の絵肌は紙やすりのようなザラザラした感じがあり、深い輝きを帯びています。また、金銀の箔や泥なども用います。日本画の実物を見た人は、それらの何とも言えない美しさに魅せられ、日本画を描きたいと思うことが多いのです。
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先生情報 / 大学情報
筑波大学 芸術系 教授 太田 圭 先生
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美術系 (日本画)先生への質問
- 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?