自分で歩いて、オリジナルの地図が作れる

自分で歩いて、オリジナルの地図が作れる

地図は無料ではない

地図ビジネスは将来性があると言われています。コンビニが新しく出店する時には、戦略として地図を活用しています。地域にどれだけの人が住んでいて、ビジネスチャンスがどれくらいあるかを検討します。また、地域の国政データでは、地域ごとの年齢構成などを見ることができます。これまでは、ある市町村で過疎が起こっているとしかわからなかったのですが、区域ごとのデータになっているので詳しい分析が可能になってきています。
しかし地図は無料ではありません。国土地理院や地図会社などが作っている地図は、商用で使用する場合は有料。アメリカでは無料ですが、日本やヨーロッパでは有料です。そこで、ヨーロッパを中心に自分たちの地図を作ろうとする動きがあります。カーナビなどに使われているGPS(人工衛星による位置測定システム)機能がある携帯電話を使えば、人工衛星からの電波を利用して、自分が歩いた経路が残せます。この経路をサーバーにアップロードして線を書き、道とすれば地図を作ることができます。現在は自分が旅行したり、ハイキングした経路を残すなどの趣味でオリジナルの地図を作る人が徐々に増えています。

新しいビジネスが生まれる

今後は、地図を使ったビジネスが注目されています。例えば、農業で使う肥料などを製造する会社は農家を訪問していますが、市販の地図では農道などは省略されていて、農家までの経路がわからないことがあります。自分にとって有効な情報が掲載されている地図を、自分たちで作っていくのがオープンストリートマップです。
世界には地図を公表していない国があります。しかし、その国を訪れた人たちが自分の歩いた道をもとにした地図を作ることもできます。また、もし日本中の人が協力すれば、とても詳しい日本地図を作ることも可能です。現在、多くのベンチャー企業が地図ビジネスに興味を持って活動しています。将来は、誰でも無料で使える地図を使った新しいビジネスが生まれる可能性があります。

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名古屋市立大学 経済学部  教授 河合 勝彦 先生

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メッセージ

経済学部は文系ですが、数理系の能力が重要なので数理的な発想ができる人の能力が生かせる環境です。ソフトウエアのエンジニアになる卒業生も少なくありません。大学を選ぶときの基準が、資格を取って仕事に生かすというのも一つの方向性ですが、情報の力を使って社会に役立ち、よりよい社会制度の仕組みを作ることに興味のある人にぜひ経済学部に来てほしいです。パソコンを使いこなして、もうワンランク上の学問にチャレンジしてほしいと思います。

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名古屋市立大学は、医学部・薬学部・経済学部・人文社会学部・芸術工学部・看護学部・総合生命理学部の7学部とそれぞれの研究科およびシステム自然科学研究科からなる総合大学です。
大学の最も重要な使命は、優れた教育を通して地域および国際社会で活躍する有為な人材を育てること、すなわち「人づくり」です。知識の詰め込みではなく、自ら課題を見つけ、その解決に正面から取り組む姿勢を養うため、本学では、学生と教員の触れ合いを大切にし、演習、実習を重視する少人数教育を行っています。