次世代素材「カーボンナノチューブ」の生成方法を探究する

次世代素材「カーボンナノチューブ」の生成方法を探究する

「夢には夢の課題がある」

次世代の“夢のような素材”として注目されている「カーボンナノチューブ」。特にたくさんある炭素を原料とする「単層カーボンナノチューブ」の生成が思うようにできれば、極小で軽くて、しかも高性能の半導体を好きなだけつくれることになります。今はまだ、生成方法が確立していませんが、世界中の研究者が、この“夢の課題”に取り組んでいます。

単層カーボンナノチューブをいかにしてつくるか

単層カーボンナノチューブとは、炭素原子が互いに重ならずに配列した1枚のシートが筒状になったものです。炭素原料をある環境下で熱処理すると生成されますが、どういう環境にすれば、どういう状態のカーボンナノチューブになるのか、制御方法がまだじゅうぶんにわかっていないのです。
実は、カーボンナノチューブはただ作るだけなら割合、簡単に作れます。問題は、より高純度のもの、原子の並びが均質なもの、そして筒状に巻いた時の巻き方までを制御するための方法です。なぜなら、カーボンナノチューブは、巻き方の違いによって「金属」の性質をもったり、「半導体」の性質を持ったりするからで、また純度が高くなければ実用化ができないからです。

目に見えない極小の世界独特の課題

カーボンナノチューブの制御には、ナノレベルという極小の世界ゆえの独特の課題があります。それは、生成された物質の評価方法がまだ確立していないということです。
ナノレベルですから、肉眼で見ただけでは、それがどんな状態になっているかはわかりません。原子はきれいに並んでいるのか、不純物は入っていないのか。これらを確かめるためには、電子顕微鏡で見たり、光を当ててその反応によって評価するという方法があります。しかし、理想的な単層カーボンナノチューブはまだ存在しないので、「こういう見え方、こういう反射のものが理想的な状態」という基準そのものが完成していません。
制御方法の発見と、その評価方法の確立を同時に行うところに、カーボンナノチューブ研究の複雑さとおもしろさがあります。

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東京大学 工学部 機械工学科 教授 丸山 茂夫 先生

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メッセージ

学問は「教えられる段階」を超えた時点で、とてもおもしろくなるものです。例えば歴史なら、年号を覚えている時点では好きになれなくても、現代の国同士がなぜ仲が良いのか悪いのかを探り出すと、過去の出来事(すなわち歴史)がとても興味深くなるでしょう。数学や物理も同様で、「なぜこうなるのか」という疑問を見つけたら、それを探究していくと、とてもおもしろくなります。教えられる勉強ばかりでなく、それを超えたところの「何か」を探究して、学問のおもしろさを感じてもらいたいと思います。

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