変動する地球の履歴やシステムを地質学から読み解く
今ある地形や地震などの現象を解明
地球の表面には、なぜ山や谷、台地などがあるのでしょう。それを解き明かすのが、地質学です。石や岩をつくる鉱物や、変形する構造を分析すると、どのように山や谷ができたかといったプロセスに迫ることができます。
地球にはいくつかのプレートがあり、プレートの沈み込みや離れていく動きによって地殻変動が起き、地表が隆起するといった現象が起きます。その活動は、しばしば地震を引き起こします。地質の構造や断層を調査することで、プレートとの関連や地震が起こる頻度などがわかり、災害対策に役立てることもできます。
長い時間をかけて変動する地球の履歴が見えてくる
そして、海洋プレートが大陸のプレートに沈み込むとき、海洋プレートの上にある堆積物が剥ぎ取られ、陸側に付け加えられる地質体があります。そのひとつ、四万十帯と呼ばれる地層は白亜紀には海底にあったものです。現在その一部は地上で山や崖を形成していて、その地層から古代の海底の様子も知ることができます。
加えて、日本周辺はもちろん、中米やスマトラ島沖といった世界のプレート、ヒマラヤといった山や陸地の断層などを調査すると、地球という惑星で起きている現象に迫ることができます。数千年や数百万年以上という長いスケールにおける、地球の変動の歴史が見えてきます。
枠を超えて検証する「地球システム科学」
ただし、地球で起きている現象は、プレートや断層の動きだけではありません。近年の温暖化といった気候変動やモンスーンの影響を受けて、地表の構造は常に変化しています。また、表層や地下にある岩石は、流体や温度、圧力などによって、さまざまな化学変化や構造変化を起こします。複雑な相互作用によって今の地球の姿になっているわけで、これらを体系的なシステムと捉える、地球システム科学という分野が注目されています。
これは地球科学だけでは解明できません。生物学、物理学、数学、化学、工学、人文学に至るまで、各分野との共同研究によって、ようやく全容に近づくことができるのです。
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