ロボットが挑む未来 ~君はロボットを動かすことができるか~
人間型ロボットを動かすのは「超」難しい
普段歩くときに、自分の歩き方を意識する人はいないでしょう。重心の移動や関節への力のかかり具合などを、いちいち考える人はいないはずです。ところが、ロボットを二足歩行させるためには、それらを一つずつ分析する必要があります。人間型の二足で歩くロボットは、重心の位置が極めて不安定になりがちで、少し力を加えるだけで簡単に転んでしまうのです。同じ二足歩行の人間が転ばないのは、無意識のうちに重心位置を常に感知し、関節を動かしてバランスをとっているからです。この人の動きを学ぶ必要があります。
二足で歩くために大切な重心の移動
センサのない二足歩行ロボットを転ばないよう歩かせるためには、重心を次のように移動させることが必要です。片足を上げて動かすときには、もう一方の足にしっかりと重心を乗せ、両足が地面に着いた時点で重心を体の真ん中に持ってくるのです。この動作を足を替えて交互に繰り返します。人間が歩くときのスムーズな動きとはかけ離れたぎこちない動きになってしまいます。このように重心位置を常に足で囲まれたエリアに維持する歩行を静歩行と呼びます。
センサで重心位置を掴み、力の加減を計算する
人間の二足歩行は動歩行と呼びます。動歩行は重心の位置を常に動かしながらバランスを取る歩行方法です。では、ロボットは自分の重心位置の移動をどうやって把握するのでしょうか。それには、足の裏につけた圧力センサを使います。地面と接して生まれる圧力が、重心の位置を教えてくれるのです。重心位置の移動に合わせて、関節にかける力の加減を調整します。人間型ロボットの場合、両足で関節は合計12ありますが、力加減の調節は重心位置の移動を表す一つの数式に簡略化して考えることが可能です。運動エネルギーと位置エネルギーを合わせて考える数式、「ラグランジュ関数」と呼ばれる機械力学の基本的な方程式を解けるようになれば、ある程度ロボットを思いのままに動かすことができるのです。
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大阪公立大学 工学部 電気電子システム工学科 教授 田窪 朋仁 先生
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