音楽を通じて祖先が降臨! ジンバブエで音楽が持つ役割とは

音楽を通じて祖先が降臨! ジンバブエで音楽が持つ役割とは

日常で楽しむ音楽の重要な役割

アフリカでは、音楽が生活の中で大きな役割を持っています。若者の間で楽しまれているポップ音楽が社会を大きく動かす力になったり、日常的に親しまれている音楽が政治的・宗教的な役割を果たしたりします。
例えば、アフリカ南部のジンバブエ共和国では、かつて独立するための運動が盛んでした。その際、解放軍の兵士たちは歌や音楽を通じて自分たちが不平等な状況にあることを民衆に訴えていました。また共に歌を歌って盛り上がったことをきっかけに兵士に志願する人も多く、人材を集める手段としても機能していたのです。

ライブ中に祖先の霊が降臨することも

ジンバブエでは日本でいう法事や、何か悪いことが起こったタイミングなどで「宗教儀礼」を行います。その際、伝統楽器「ンビラ」などを用いた音楽を演奏し、霊媒師に祖先の霊を降ろすことがあります。ここで演奏される音楽は、伝統的なスタイルのまま、あるいはギターバンド編成でアレンジされ、娯楽目的の音楽ライブでも演奏されます。しかし、娯楽目的の演奏であっても、踊っている観客に祖先の霊が降り、突如観客が気を失って倒れるという現象が起こることがあります。

ジンバブエでは、才能が人を選ぶ

霊的な存在への意識が生活に浸透しているジンバブエでは、「マシャウィ」という考え方もあります。マシャウィとは、日本でいう「才能」のことです。日本では才能というとその人に備わっているものという考え方ですが、ジンバブエではマシャウィ自体が意思を持っており、自らの意思で人についていくかを決めるとされています。マシャウィが人を選ぶため、離れていってしまうこともあり得るわけです。そのため、もし楽器の演奏技術が上達したり、音楽によって生活できるようになったりすれば、マシャウィをもっと喜ばせるために儀礼を開き、親戚や家族をもてなします。それには、マシャウィや先祖に感謝を示すという意味合いが込められているのです。

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ノートルダム清心女子大学 国際文化学部 国際文化学科 准教授 松平 勇二 先生

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メッセージ

ひらがな、カタカナという独自の文字を持つ私たちにとって、文字は情報伝達の重要な手段であり文化です。しかし、アフリカではほとんどの地域で独自の文字が発達しませんでした。話し言葉や音楽などの音が情報伝達を担ったのです。歴史や法律なども音で伝えられました。音で伝えるアフリカの文化に触れると、私たちが日々発する音としての言葉や音楽について気付かされ、逆に文字のあり方についても考えさせられます。世界の音楽やダンスに興味があるなら、人はなぜ歌い、踊るのかということを追究しながら、一緒に学んでいきましょう。

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本学は1949年に中四国で最初の4年制女子大学の一つとして岡山県に創立され、これまで一貫して女子高等教育に取り組んできました。キリスト教精神に基づき、平和でよりよい世界へ貢献できる女性を育成する、リベラル・アーツ・カレッジです。専門的な学びをそれぞれの人生の課題に結びつけ、豊かな知性と社会へのまなざしをそなえた「真の自由人」への成長を促す教育プログラムを整備しています。