J-POPで読み解く、その時代

J-POPで読み解く、その時代

第一次ルーズソックス世代

アムラーという言葉を知っていますか? 1990年代中頃にアイドル的存在であった、“安室奈美恵”のファッションを真似た若い女性のことです。彼女も含め、その頃の流行した歌の多くは、“小室哲哉”によって作られたものです。小室サウンドはハイトーンボイスと「わたし」をテーマにした歌が特徴です。彼の作る歌詞は、「私ってOKでしょ、イケてるでしょ」という内容のものが多く、こういった詞をハイトーンで歌うことで、当時の若い女性は、何となく自信を持てると感じていたのです。
その後、“GLAY”が音楽シーンの中心を占めるようになります。彼らの音楽は、「あなた」がテーマ。ハイトーンボイスで「わたしってOKでしょ」と言うことに疲れた若者が、バラードの穏やかな曲調にのせて、「あなたは大切な人です」と言われることで満足感を得たのです。
小室、GLAYが音楽シーンを席巻した時代は、第一次ルーズソックス世代と呼ばれます。このころの音楽のテーマは、「自分の価値」であり、価値があると自分で言うか、人にそう言われるかの違いはあれど、自分自身に価値があると思わせてくれる歌が流行したのです。

2人の歌姫、現る!

2人の女性歌手が、第一次ルーズソックス世代の後、音楽シーンに登場します。それは、“浜崎あゆみ”と“宇多田ヒカル”です。彼女たちは女性からの圧倒的な支持を得て、音楽シーンになくてはならない歌姫となりました。彼女らが多くの支持を得ることができたのは、彼女たち自身がつくる歌詞に、世の女性たちが共感したからだと考えられます。
“浜崎あゆみ”の世界観は、「心の傷」。一方、“宇多田ヒカル”の音楽からは、「等身大の恋愛」を感じることができます。表現の違いはありますが、ともに、現代女性の心の中にある「想い」を映し出していると考えられます。
よく、「ヒット曲は、時代を映す」と言われます。その言葉通り、流行した歌を分析してみれば、その曲がヒットした時代の背景にある、社会や人の心理が見えてくるのです。

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千葉大学 教育学部  教授 藤川 大祐 先生

千葉大学 教育学部 教授 藤川 大祐 先生

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メッセージ

大学は学ぶところです。多くの本を読み、教員やほかの学生と大いに議論し、学校や地域の現場に出てさまざまな体験をします。社会の急激な変化の中で教育にはたくさんの課題が突きつけられていますから、高い意欲をもつ人が教育を学び、社会に貢献してくださることを願っています。高い意欲をもつということは、例えば大学入学前から教育に関する本をたくさん読み、広い学問分野に関心をもって学校で教わる以上のことを自主的に学び、文章を書くなどの表現を豊富に行い、地域を活性化する活動に貢献しているということだと私は考えています。

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千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。