J-POPで読み解く、その時代
第一次ルーズソックス世代
アムラーという言葉を知っていますか? 1990年代中頃にアイドル的存在であった、“安室奈美恵”のファッションを真似た若い女性のことです。彼女も含め、その頃の流行した歌の多くは、“小室哲哉”によって作られたものです。小室サウンドはハイトーンボイスと「わたし」をテーマにした歌が特徴です。彼の作る歌詞は、「私ってOKでしょ、イケてるでしょ」という内容のものが多く、こういった詞をハイトーンで歌うことで、当時の若い女性は、何となく自信を持てると感じていたのです。
その後、“GLAY”が音楽シーンの中心を占めるようになります。彼らの音楽は、「あなた」がテーマ。ハイトーンボイスで「わたしってOKでしょ」と言うことに疲れた若者が、バラードの穏やかな曲調にのせて、「あなたは大切な人です」と言われることで満足感を得たのです。
小室、GLAYが音楽シーンを席巻した時代は、第一次ルーズソックス世代と呼ばれます。このころの音楽のテーマは、「自分の価値」であり、価値があると自分で言うか、人にそう言われるかの違いはあれど、自分自身に価値があると思わせてくれる歌が流行したのです。
2人の歌姫、現る!
2人の女性歌手が、第一次ルーズソックス世代の後、音楽シーンに登場します。それは、“浜崎あゆみ”と“宇多田ヒカル”です。彼女たちは女性からの圧倒的な支持を得て、音楽シーンになくてはならない歌姫となりました。彼女らが多くの支持を得ることができたのは、彼女たち自身がつくる歌詞に、世の女性たちが共感したからだと考えられます。
“浜崎あゆみ”の世界観は、「心の傷」。一方、“宇多田ヒカル”の音楽からは、「等身大の恋愛」を感じることができます。表現の違いはありますが、ともに、現代女性の心の中にある「想い」を映し出していると考えられます。
よく、「ヒット曲は、時代を映す」と言われます。その言葉通り、流行した歌を分析してみれば、その曲がヒットした時代の背景にある、社会や人の心理が見えてくるのです。
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