「城」も「産業遺産」も、地域の大切な文化財
近代の文化遺産が評価されている
2014年6月に世界遺産に登録された群馬県の富岡製糸場が、12月には東置繭所などの3棟が国宝に指定されました。重要文化財の東京駅はドームを復原するなど、近代の文化遺産に注目が集まっています。これまで、都市化やバブル期の再開発などで近代の名建築が数多く失われたこともあって、文化庁は近代の文化財も国宝に指定するようになったのです。近代建築では2009年指定の旧東宮御所(迎賓館赤坂離宮)が第1号、富岡製糸場が第2号の国宝です。
「城」と国宝の関係
国宝と言えば、すぐに思い浮かぶ建築物が「天守」でしょう。1950年に文化財保護法ができた時、戦前に国宝だった城は、すべて重要文化財になりました。その後、改めて国宝に格上げされた城は、姫路城、松本城、犬山城、彦根城ですが、63年ぶりに松江城が2015年に指定されました。国宝だった城が格下げになったのではありません。文化財保護法施行以降に改めて国宝に指定された城が、重要文化財の城に比べて、よりその価値が高いと認められたのです。
城の復元は狭き門
失われた城郭建築の復元が各地で行われています。かつては大阪城や名古屋城のように、現存する石垣の上に鉄筋コンクリートの天守が復元されていました。しかし、現在では史料が整って発掘調査の成果が上がらない限り、簡単には認められない状況になっています。ですから、写真しか残ってない城は、復元の可能性が低いと言えます。
明治以降、城は要らないものとなって、処分するかどうかの瀬戸際にありました。そんな中で高知城は、1873年に天守と御殿を含む本丸を残し、公園として一般に開放する方法を全国に先駆けてとりました。その後、各地で城が公園として開放されるようになりました。
大学の建築系の学部には、地域の城や文化財を調査して守る役割も期待されています。古い建物の修理サイクルは約200年ですが、ひょっとしたら、あなたの在学中に、そんなチャンスが訪れるかもしれません。
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先生情報 / 大学情報
高知県立大学 文化学部 文化学科 教授 三浦 要一 先生
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