発達障がいの子どもが、自立するための子育てとは

発達障がいの子どもが、自立するための子育てとは

能力が違っているのは当たり前

私たち誰もが、すべての能力に優れているわけではありません。「運動は得意だけど、文章を書くのは苦手」というように得手不得手があります。その能力の中には先天的であるために、努力してもあまり変わらないものもあります。
発達障がいの子どもは、絵はとっても上手だけど、自分の名前はうまく書けないというように、能力の凹凸が激しいのが特徴です。ただし、能力が平均的であることと、能力の差が激しいのは「個性の違い」であって、それだけで「障がい」ということはできません。

不登校などにつながる、日本の発達障がいの現状

「障がい」になるのは、能力の差を悲観して、心身症や登校拒否など体や行動に変調が表れる場合です。症状としては、暴力的になるなど外向的になるか、内向的になって自閉的になるなどの2つのパターンがあります。
日本では、内向的になり不登校の子どもが多いのが特徴です。これは、教育文化も影響しています。日本では保護者は、できない点を指摘して、できることをほめない傾向があります。可能性を認めてもらえないので、子どもはどうしても後ろ向きになります。保護者としても、そうした同様の教育を受けてきたため、ほかの子育てを知りません。そうしたことが、子どもが内向的になる理由だと考えられます。

自立を促す子育てを行う

子育ての目標は自立です。これは、発達障がいの場合も同じです。ある能力が劣っていても、ほかの人に助けを求めたり、別のことで補ったりできれば問題ありません。名前が書けなくても、絵が上手であればそれを伸ばせばいいわけです。そのためには、絵を描くことでどんなよいこと(報酬)があるかを教えることが大切です。
その結果、意欲的になり自尊心が高まれば、不得手なことを補うのはさほど難しくありません。保護者の価値観を子どもに強制することが子育てではありません。子どもとの人間関係を築く中で、子どもの反応を見ながら能力を伸ばす支援を行うこと、それこそがすべての子育てにとって大切なことなのです。

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先生情報 / 大学情報

福岡女学院大学 人間関係学部 子ども発達学科 教授 藤田 一郎 先生

福岡女学院大学 人間関係学部 子ども発達学科 教授 藤田 一郎 先生

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子ども発達学

メッセージ

私はもともと小児科医です。診療の中で親に対して子育てやしつけの話をすることも多く、体の治療にとどまらず心身両面で保護者や子どものサポートを行ってきました。
実は子どもの病気は心の問題とも深く関わっていて、予防医学的に考えると、教育、子育てのサポートは大変重要です。このような医者の枠を超えた活動のおかげで、「教育に目覚めた医者」と呼ばれています。福岡女学院大学では、学生と一緒に保育、子育てを研究しています。一緒に勉強しませんか。

先生への質問

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