障がいのある子どものきょうだいとして
障がいのある人の家族に目を向けた看護
生まれたときや幼い時から重い障がいのある子どもがいます。看護の分野では10年あまりの間に、障がいのある本人だけでなく、その家族にも目を向けるようになってきました。特に共に成長する健常な「きょうだい」に関心が向けられるようになりました。ここではインタビュー調査などからわかってきた、「障がいのある子どものきょうだい」について紹介します。
「いい子」すぎるきょうだい
幼い頃から、家事手伝いや障がいのある兄弟姉妹の世話を優先するきょうだいが目にとまることがあります。このようなきょうだいは、自分の気持ちを表に出さず、保護者から求められる役割を演じるため、周囲からは「いい子」に見えます。しかし実は、保護者の大変さを感じとり、我慢している子どもが多いのです。
きょうだいが成人し自分らしさを出せるようにするためには、そうしたきょうだいの成長にも目を向けることが必要です。例えば、ちょっとした買物や映画など「きょうだいと保護者だけの時間」を持つことが大切になります。そのためには、障がいのある子どもを一時的に預ける場所が必要ですが、日本にはまだあまりありません。きょうだいのためにも社会の力が必要なのです。
複雑に揺れ動く、きょうだいの気持ち
幼い頃は、兄弟姉妹の障がいを当たり前のこととして受け止めていたきょうだいにも、小学校高学年くらいから、障がいのある兄弟姉妹のことを友だちに言えなくなる時期がくることがあります。社会の目を感じ取るようになり、その社会の目に同調するように、障がいのことを隠したり、うそをついたり、一緒に出かけなくなるのです。
ところが、高校生から20歳くらいになり、広く社会と関わり、障がいについての理解が深まると、また言えるようになります。つまり、障がいのある兄弟姉妹を自然と受け入れられるのを待つのも大事なことなのです。障がいのある子どもの家族の看護では、このようなことも学んでいきます。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 健康福祉学部 看護学科 教授 山本 美智代 先生
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