子どもをめぐる問題を解決するためには?
社会に求められる「スクールソーシャルワーカー」
学校生活の第一歩である小学生、多感な中学生、進路に悩む高校生まで、子どもたちをめぐる問題は多様化しています。勉強、友だちとの関係、家庭の問題など、誰にも言えない悩みを抱えて学校生活に適応できなくなる生徒も少なくありません。時には、人間関係のもつれから刑事事件に発展してしまうこともあります。学校で生徒の悩みを聞き相談に乗る心理職の専門家としては「スクールカウンセラー(SC)」がいますが、先生や家族・地域とのつながりをもとに、問題の具体的な解決を目的とする「スクールソーシャルワーカー」を活用する必要性が増しています。
多様な社会体験学習で支援のプロセスを学ぶ
子どもを取り巻く問題の具体的な解決のためには、課題の発見(アセスメント)、課題解決のための支援計画(プランニング)、実行(アクション)、評価(モニタリング)が重要です。
親子関係や交友関係など子どもを取り巻く状況や、知的障がいのある場合の生活の様子などを、アセスメントの段階でしっかり理解する必要があります。アセスメントで得られた知見をもとに、例えば小学生とキャンプ生活をともにする「自然学校」で、子どもの自立を促す支援計画を立てます。「キャンプファイヤーをする上で、子どもが一人ひとり輝けることは何か」などを具体的に考え、その準備を行います。
また、実行後の評価では「短くて具体的な指示をしなければ子どもはわかってくれない」など、現場で実践して初めてわかることを整理して課題解決に生かしていきます。
幅広い視野とコミュニケーション力が必須!
現代の子どもは、以前と比べて地域の中での横のつながりが少なくなっている傾向があります。親や地域の大人・社会が子どもとどう関わるかを整備し、子どもの居場所を作る支援をする必要があるのです。そのために、スクールソーシャルワーカーには、家庭や学校、地域と重層的に関わる幅広い視野と知識、どんな人とも関われるコミュニケーション能力が求められていくことでしょう。
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先生情報 / 大学情報
関西福祉大学 社会福祉学部 社会福祉学科 教授 八木 修司 先生
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