コロナ禍で揺れる! 正しく感染症対策を行う難しさ
医療現場の感染対策はコロナ禍で変化
感染症の有無にかかわらず実施すべき標準予防策を「スタンダード・プリコーション」と呼びます。また、2009年にWHOが出した医療における手指衛生のガイドラインでは、患者に触れる前・触れた後など、「手指衛生の5つのタイミング」が示されました。こうした感染症対策がどのように行われているかといった研究も、コロナ禍で注目されています。感染が収束すると定着が難しいのですが、感染予防のゴールは歯磨きや洗顔のように習慣となることです。
なくならない院内感染
コロナ禍以前、インフルエンザの流行時に医療現場でマスクを着けたとしても、世界の感染者数は減らない状況が続いていました。インフルエンザウイルスをはじめ、抗生剤に耐性のある菌、熱耐性菌などへの感染対策は、特に高齢者や小児、免疫力が低下した患者を預かる病棟での大きな課題です。コロナ禍ではすべての医療機関や社会全体に感染予防が広がりましたが、その手洗いやマスクの着脱が正しいかどうか、といった検証は途上です。そのため、感染管理を担当する専門グループの活躍が期待されています。
愛着形成をする時期の保育園で
1歳までの園児たちは、園で過ごす時間、担当の保育士が愛着形成をする人物になります。子どもは一人では遊べず、大人から離れたままではいられません。愛着形成は安全地帯という概念とセットです。感染予防のうえでは距離を保たないといけないのですが、子どもはそういうわけにはいきません。愛情の表現は子どもが安心できる動作で、抱っこしてもらったり、目を見て話しかけたりすることです。子どもは定期的に愛着形成を結んでいる人のそばに行って、安心をもらう必要があります。そうしてまた遊びに戻り、心身ともに健やかに成長するための能力を育てていきます。言葉を覚えていく時期なので、口もとを見せるのがこれまでの「日常」でした。命を守るために優先すべき感染予防ですが、保育士たちも苦しい思いでコロナ禍を乗り越えていることが、聞き取り調査などに表れています。
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新潟医療福祉大学 看護学部 看護学科 講師 佐藤 真由美 先生
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