球の動きを高速で追う技術、「ダイナミックイメージコントロール」

球の動きを高速で追う技術、「ダイナミックイメージコントロール」

カメラがボールを追うテクノロジー

野球やゴルフ中継の映像を見ていると、飛んでいくボールをカメラがとらえきれないという場面を目にすることがあります。小さくて速く動くものをカメラが追うというのは、かなり難しいことなのです。しかし現在、自動的にボールの動きを追う技術が開発されています。例えば、卓球のラリー中の球を、画面の中央にアップで正確にとらえ続けることができます。
こうした、これまで人間の目では把握できなかった現象をわかりやすく映像として伝えるための技術は、「ダイナミックイメージコントロール」と呼ばれ、そこには、さまざまな最新のテクノロジーが活用されています。

画像処理とカメラ、レンズの開発

使われているのは、高速画像処理の技術です。まず、とらえた画像を一瞬で判断して球の位置を認識します。次に、カメラがそれを追うのですが、重いレンズを瞬時に動かすことは困難です。そこで、小さな2枚の鏡を高速で動かすことで、常に対象の像をレンズにとらえることを可能にしたのです。さらに、「液体でできたレンズ」を使用すれば、瞬時に形を変えることで焦点を合わせることも可能です。
これらの技術を利用すると、これまでは建物など動かない壁のみをスクリーンとしていたプロジェクションマッピングを、はずむボールなど動いているものをスクリーンとして行うことも可能になりました。

さまざまな分野に応用可能

ダイナミックイメージコントロールの技術は、スポーツ中継をよりダイナミックな映像にすることはもちろん、ボールの動きを分析することで、球技を力学的に解明していくことにもつながるでしょう。
さらに、さまざまな分野への応用が期待されています。エンターテインメントの演出として利用したり、高速での画像処理は、車の自動運転で歩行者の飛び出しを認識することにも応用できます。ほかにも、工場の生産ラインの効率化や、バイオや医療の分野において、動いている生体内をモニターする技術など、幅広い分野に応用可能な技術であると考えられています。

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先生情報 / 大学情報

群馬大学 情報学部 情報学科 教授 奥 寛雅 先生

群馬大学 情報学部 情報学科 教授 奥 寛雅 先生

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情報科学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私が取り組んでいる研究は、映像が好きな人や、理論だけではなく自分で実際に物を動かす実験などが好きな人、そして、今までに見たことのないような新しいものに取り組むことに抵抗がない、好奇心旺盛な人が向いていると思います。
私が思うに、大学というのはとても面白いところです。自分が興味を持っているさまざまなことをとことん追究していける場所だと思うので、ぜひあなたも、やりたいことを夢に描いて群馬大学に入学してください。

先生への質問

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群馬大学は北関東を代表する総合大学として、優れた人材を育成し、学問の研究と応用、福祉への貢献など、社会的使命を果たすことを特色としています。「社会のニーズに配慮しつつ細分化から総合化へ」という理念を研究面、及び教育面に具体的に実現させ、「研究活動面における社会との連携及び協力」に高く評価される形となって生かされています。