幼稚園児の頭の中で、一体何が起こっている?

幼稚園児の頭の中で、一体何が起こっている?

脳や心が急激に成長する乳幼児期

誕生してすぐのヒトの脳は、重さ400gほどですが、6歳くらいまでに1,200gほどになり、大人とほぼ変わらない大きさまで急激に成長します。それと共に、子どもの心も、保育園や幼稚園の先生や保護者、そして友だちとの遊びやコミュニケーションの中で徐々に育まれます。

環境との関わりを通して「心」を成長させる

先生たちは、遊びや環境設定を通じて子どもの心の成長を刺激します。例えば、最近は「恐竜には羽毛が生えていた」という説があります。工作遊びで恐竜を作るとき、先生が材料の中に、フワフワの毛糸を用意したとします。知っている子は毛糸にも手が伸びるでしょう。一方で、知らない子は「なぜ毛糸があるんだろう?」と疑問に思って、毛糸を使っている子や先生に聞いたりします。先生はただ知識を教えるだけではなく、子どもが遊びの中で、新しい事柄に自発的に気づけるような仕掛け、つまり環境を準備し、好奇心の種をまくのです。新たな知識は、子どもの興味の幅を大きく広げます。特に幼児期は、遊びで生まれた「なぜ」「なに」を、大人が深めてあげることが大切です。

小学校以降の基盤を育む重要な時期

最近の教育に関わる研究では、IQや学力で評価する能力を「認知能力」といいます。一方、物事に持続的に取り組んだり、仲間と一緒に協働するといった、社会的適応に必要な能力を「非認知能力」といいます。その中に、「実行機能」という「自分の行動や気持ちをコントロールする能力」があります。幼児期に実行機能が高かった子は、小学6年生になったときの学業成績も良い傾向にあります。また、「心の理論」といった、相手の心の状態を読んだり、相手の立場に立って考えるために必要な能力も、乳幼児期から発達し始めます。幼児期の心の理論の能力の高さは、小学校での友人関係の良好さとも関連します。このように、幼児期に育まれた能力は、その後の子どもの生活の基盤となっています。

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先生情報 / 大学情報

千葉大学 教育学部 学校教員養成課程 教授 中道 圭人 先生

千葉大学 教育学部 学校教員養成課程 教授 中道 圭人 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

発達心理学、教育心理学

先生が目指すSDGs

メッセージ

私が学生の頃は、保育士はまだ「保母さん」と呼ばれ、女性ばかりで、男性保育士の「保父」さんなど少数でした。それでも、小学校の卒業文集に書いた、私の将来の夢は「保父」でした。小学生の頃から10歳離れた弟の世話を進んでやるなど、子どもが好きだったからです。その思いで大学まで進学しました。大学で「発達心理学」という学問に出会い、幼児や子どもを対象にした研究の道へ進みました。あなたの夢は、将来実現できそうですか? 本当にやりたいことなら、決して諦めないでください。必ずあなたが進む道が見つかります。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?
  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

千葉大学に関心を持ったあなたは

千葉大学は、他大学にないユニークな学部を含む全11学部を擁する総合大学です。学際的文理融合の精神のもとに、教育研究の高度化、産官学の連携推進、国際交流の拡充を進めています。近隣には放送大学、国立歴史民族博物館などがあり、各分野で共同研究が行われています。「つねに、より高きものをめざして」の理念のもと、世界を先導する創造的な教育・研究活動を通しての社会貢献を使命とし、生命のいっそうの輝きをめざす未来志向型大学として、たゆみない挑戦を続けます。