講義No.07856 教育 児童学

「学習指導要領」には書かれていない、より良い教育をするために

「学習指導要領」には書かれていない、より良い教育をするために

教育方法学とは?

高校の授業では、グループごとの「討論」「批評」などを積極的に行っていますか? ボランティア活動や職場体験などの時間は設けられていますか? ひと昔前まで、それら試験の点数に直結しない活動に力を入れる高校は、ごくわずかでした。文部科学省による「学習指導要領」の中に、「言語活動の充実」「生きる力の育成」などの重点課題が盛り込まれたことで、それぞれの高校が授業の進め方を改革しているのです。数年おきに改訂される学習指導要領の内容と、社会の動きなどを考え合わせながら、「何をどのように教えるべきか」を研究するのが「教育方法学」です。

時代の流れに沿った教育が必要

教育の基本方針は、各科目とも学習指導要領で定められています。ただ、それはあくまでも「これだけは学ばせたい」という最低限の基準であり、授業の具体的な方法は示されていません。その一方で、学ぶ側である生徒たちの理解度や学習意欲、「学び」に対する価値観などは年々多様化しており、社会基盤そのものも、急速なグローバル化や産業技術の革新などによって急変しています。教師が一方的に授業を進め、正解だけを丸暗記するような教育方法では、もはや時代の流れについていけません。だからこそ、「どのように教えるべきか」を研究する、教育方法学の重要性も高まっているのです。

「生きる力」をも左右する自己表現能力

学習を通じて、思考力や判断力、表現力を伸ばすことが、現在の学校教育の目標であり使命です。特に「自己表現力」は、コミュニケーション能力の基本ですから、その人の「生きる力」をも左右する重要な能力です。
教材研究やテスト作り、採点、さらに生徒同士や保護者とのトラブル対処など、日本の教師は世界で最も多忙です。その分、生徒とのコミュニケーションを築けないまま授業を行わねばならないケースも少なくありません。そんな中で、少しでも質の高い教育を実現するため、「教え方の工夫」が急がれています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。

先生情報 / 大学情報

福山市立大学 教育学部 児童教育学科 教授 藤原 顕 先生

福山市立大学 教育学部 児童教育学科 教授 藤原 顕 先生

興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!

教育方法学、教育社会学

先生が目指すSDGs

メッセージ

小・中学校時代、「あの授業はわかりやすかった」と感じた授業はありましたか。その授業は、どうしてわかりやすいと感じたのでしょう。
教育学の1つのジャンルである「教育方法学」は、「何をどう教えるか」を探究する学問です。もしもあなたが、大学で教育学を学びたい、あるいは教師になりたいという目標を持っているのなら、自分自身はどう学んでいるか、何を学びたいと思っているのかを、改めて見直してみるとよいかもしれません。

先生への質問

  • 先生の学問へのきっかけは?

福山市立大学に関心を持ったあなたは

福山市立大学は、福山市が設置する公立大学、4学期制による効果的な履修、4年間を通じた少人数参加型授業や、街と一体となったキャンパスを拠点に、福山市全体をフィールドとした体験型授業の充実が特色です。公立大学の特色を生かし、教育学部では地域の教育・保育施設との連携により実践力のある教育者・保育者を目指します。都市経営学部は全国初の学際的な学部で、環境を基盤として工学系、経済学系、社会学系の3つの領域を総合的に学び、持続的な都市社会の発展を担える人材を育成します。