子どもたちの感性を育むための「音楽の授業」とは?
「何を評価するか」と「何を教えるか」は表裏一体
音楽は好きですか? 楽しみ方・感じ方は人それぞれですが、「音楽が嫌い」という人は滅多にいません。一方、音楽の授業が嫌いだったという人は少なからずいます。それはなぜでしょうか。主な理由として、人前で歌わされるのが嫌だった、よくわからない音楽を聴くのが退屈だった、リコーダーが苦手だった、などが思い浮かびます。
音楽科は教科として位置付けられており、そこには「指導」があり、「学習」があります。そして、指導と学習の成果を明らかにするための「評価」があります。このことが、「音楽嫌い」ではなく「音楽授業嫌い」を生むことと関係しているのかもしれません。
マニュアル通りの指導が「よい指導」なのか?
中学・高校と違い、小学校では多くの場合、1人の教師が全教科の授業を担当します。そのため、音楽の専門教育を受けていない教師でも授業がこなせるよう、文部科学省の「学習指導要領」に準じて作られたさまざまな音楽指導の手引き書があります。それに沿って授業を進めれば、「学習指導要領」で示された内容もクリアできそうです。しかし、マニュアルにそう書いてあるから、と指導するだけで、本当に子どもたちの豊かな感性を育むことができるのでしょうか?
何のために必要かを理解させて知識や技能を伸ばす
鍵盤ハーモニカやリコーダーがうまく吹けないから楽器の演奏が嫌いだったとか、合唱のとき、自分の音がわからなくなって歌えなかったとか、音楽の授業で苦手意識を持った経験はありますか? 学校外での音楽経験の影響もあり、音楽能力には個人差があります。
演奏技術も単なる訓練ではなく、何のために必要なのかを理解すれば、子どもたちは自分の不得手を克服しようと努力します。そのために大切なことは、子どもたち一人ひとりに声や音を合わせた時の響きの美しさを感じさせ、感動をもたらすことです。
音楽の授業を通して、子どもたちの感性を豊かに育むための方法を研究することが、「音楽教育学」の使命の1つなのです。
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先生情報 / 大学情報
福山市立大学 教育学部 児童教育学科 教授 古山 典子 先生
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