世界平和のために、対話で対立を乗り越えていこう!
「対立解決学」とは?
世の中では個人間から国家同士のレベルまで、さまざまな対立が起きます。対立自体は悪いことではありません。十人十色みんな考え方が違うので、対立は当たり前なのです。しかし対応や解決をせずに放置すると、恨みや憎しみが募って、最悪の場合はテロや戦争という大きな暴力を引き起こします。「対立解決学」では、対立を分析し非暴力、かつ建設的に関係を築いていく方法を研究します。
暴力や刑罰ではない、対立解決の方法とは?
アメリカで9・11のテロが起きたとき、当時のブッシュ大統領は、それまでの多くの未解決な問題が負のエネルギーを生んだことに目を向けることなく、「正義のための戦争」として報復措置を取りました。しかし、戦争に正義はありません。一方、犠牲者の家族たちは自ら団体をつくり、「自分たちが失った、愛する人たちを理由に戦争をしてはいけない」と訴えました。そして生き残ったテロリストに対し、彼の母親を呼び寄せて対話させました。加害者にも愛する者があることを尊重した素晴らしい試みです。
このように被害者のニーズだけではなく、加害者のニーズにも応えながら解決していく「修復的正義」は、最近注目を浴びている手法です。罰を与えれば再犯しないとは限らず、むしろ再犯を引き寄せることさえありますが、「修復的正義」によって解決された場合は、再犯が起こりにくいという結果が出ています。
さまざまな知識や技術を身につけ、行動する
暴力や紛争が貧しさに起因することもあります。貧困をなくすには、貿易の仕組みや経済格差、政治などの問題を知り、大きな力で変えていく必要があります。
世界の平和を考える「地球市民学」では、政治学や経済学、社会学、環境学、ジェンダーなど学際的に知識を学びます。そして、その「知識 Knowledge」を使いこなし、対話していく「スキル Skills」、物事を見る「姿勢 Attitude」、「行動 Action」の4つの柱が重要になります。さらに相手のことを想像し、共感する心も大切です。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
清泉女子大学 地球市民学部 ※2025年4月開設 地球市民学科(地域共生領域) 教授 松井 ケティ 先生
興味が湧いてきたら、この学問がオススメ!
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