先人の教訓をいまの都市計画に生かす

不備を補い発展をめざす都市計画
村が町になり、町が都市になる、そうした過程では、住宅や交通などさまざまな問題、不備が生じます。それらを補いながら、よりよい環境を築くために作られるのが都市計画です。経済基盤や都市機能の強化といった、さらなる発展を目的とした都市計画もあります。日本では明治の半ばごろから、その策定が始まりました。最も有名なものは関東大震災直後の東京の都市計画で、このときは災害に強い都市づくりが計画されました。高度経済成長期には全国各地で都市計画が作られ、工業団地やニュータウンの建設が進みました。
都市計画の成功例と失敗例
もちろん、成功した都市計画もあれば、失敗に終わった都市計画もあります。例えば、昭和初期に盛んに行われた大学誘致には成功例が数多くあります。行政や地元住民だけでなく、鉄道会社、民間の地権者などが協力して大学を誘致し、実際に大学ができれば人が集まり、大学の知を生かした産業も生まれます。いまの東京都国立市も文教都市として発展しました。
その一方で、近隣にある大都市とのつながりを重視し過ぎた結果、中心商業地が衰退し、逆に都市の魅力を失ったケースも見られます。こちらは失敗例に挙げることができるでしょう。
先人の知恵や工夫をどう生かすか
実はいま、都市計画の重点は「どのように都市をコンパクトにして持続可能性を高めるか」に移っています。さらに災害への対応や産業振興、環境との調和、都市景観の維持なども考慮に入れるようになっています。従来のやり方が通用しにくくなっているわけですが、そのようなときこそ歴史が役立ちます。どのような都市計画があり、それらを立てた人たちの狙いはどこにあったのか、彼らはどんな創意工夫を凝らしてきたのか、またどのように利害調整を図ってきたのか。難しい計画立案ほど、それらが参考になります。これまでにも増して都市計画史の重要性は高まっているのです。
※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。
※夢ナビ講義の内容に関するお問い合わせには対応しておりません。
先生情報 / 大学情報
