再生可能エネルギーで、持続可能な地域を創るには?
地域の将来を支える再生可能エネルギー
石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料は、気候変動を引き起こす二酸化炭素や大気汚染物質を大量に排出します。また、原子力が持続可能でないことは言うまでもありません。しかも、化石燃料もウランも、海外からの輸入に頼っています。一方、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスといった「再生可能エネルギー」は、それぞれの地域に存在しており、技術開発によって近年急速にコストが安くなっています。こうした地域の資源を活用することで、地域の経済・社会を活性化できると期待されています。
利益が地域にきちんと還元されるには?
再生可能エネルギーは、どこでも同じように活用できるというものではありません。地形や気候、土地の事情など、その地域にふさわしいエネルギー源を適切に組み合わせる必要があります。また、地域活性化のためには、再生可能エネルギーによる発電をその地域が主体となった事業として実施し、それによる利益が地域に還元され、新たな資金循環を生むようなシステムを作り上げる必要もあります。外部から来た事業者が事業を行う形の場合、ケースにもよりますが、地域に還元されるお金は2割程度にしかならないと推計されているからです。
天然資源だけでなく、人的資源も重要
地方自治体や民間団体、地元企業が連携するなどして、地域主導の再生可能エネルギー事業を起こし、軌道に乗せていくには、多くの工夫が必要になります。地元市民から出資金を募ったり、寄付金の返礼として地元の農産物を提供したりといった地域貢献をしているところもあります。
こうした取り組みには、地域の持続可能性について明確なビジョンを持つ人材が、担い手となって支えていくことが求められます。地域の再生可能エネルギーを、地域の人たちが、自分たちを豊かにするコモンズとして総合的に管理できるような組織体制が必要です。再生可能エネルギーを利用していくには、天然の資源だけでなく、人的な資源もまた大切なのです。
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先生情報 / 大学情報
一橋大学 経済学部 経済学科 准教授 山下 英俊 先生
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