「テレビ離れ」が進む中、メディアはどう活路を見出すのか
テレビの特徴と視聴者の変化
メディアにおける表現の中でも映像のインパクトは大きく、特にテレビは広く万人に訴えかけるという意味で頭ひとつ抜けた存在です。ただし1分のニュースにつき約450文字、新聞に換算して40行余りと、伝えられる情報量には限りがあります。資本の論理に対し敏感なのもテレビの特徴で、コストに見合わないという理由で、野球中継や時代劇などのかつての人気番組が地上波ではあまり放送されなくなりました。しかし放映権料などが低く抑えられるBSやCSでは根強いニーズがあり、往年のドラマの再放送と共に高齢者層を中心に人気を博しています。
スポーツを変えるメディアの力
最も巨額の資本が動くのがオリンピックやワールドカップといったスポーツイベントです。例えばオリンピックの放映権は2014年から2032年まで、アメリカのNBCが約120億ドルで購入しています。その結果、NBCの視聴者が視聴しやすい時間帯に、競技のスケジュールが組まれるようになりました。こうしたことは急に始まったわけではなく、バスケットボールのNBAにおけるクォーター制やバレーボールのラリーポイント制など、放送メディアの都合でルール変更が行われるのは珍しくありません。アスリートファーストと言えない状況が生まれていることは、スポーツとメディアの間にある課題と言えます。
変わりゆくインターネットとテレビの関係
通信環境の進歩により、今やインターネットでも手軽に高画質の動画を視聴できるようになりました。無料サイトには、テレビと同様のフォーマットで番組を放送するAbemaTVのようなメディアも登場しました。しかし、テレビと比べれば実は視聴時間がさほど長いわけではなく、伝統的なメディアに比べると広告収入も少ないのが現状です。一方、有料サイトには、好きな時間に好きなコンテンツを視聴できるビデオ・オン・デマンド型のサイトが急速に浸透しています。メディア間の垣根がどんどん低くなる中、より効果的なメディアのあり方が模索されているのです。
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先生情報 / 大学情報
大正大学 表現学部 メディア表現学科 教授 松崎 泰弘 先生
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