逃れられないストレス うまくコントロールする方法ってあるの?

ストレスによる身体反応を調査
人間関係のトラブルや競争の多い現代社会では、ストレスで体調を崩す人が少なくありません。このような状況の中、心理学では人がストレスを受けたときの反応、ストレスをコントロールするための他者からの介入について調べる研究が行われています。実験の1つは、異なった認知(考え方)や性格を持った人を事前に選んだ上で、人前での発表や暗算課題などストレスをかけ、そのときの心理生理的反応を調べるというものです。一般的に人がストレスを受けると、血圧や心拍が上がり、交感神経が優位になります。また唾液中の「コルチゾール」というホルモン分泌が増加します。これら値の変化を調べるのです。
不安が強い人と幸福感が強い人で異なる反応
この実験を不安が強い人と幸福感が強い人に行ったところ、それぞれ異なる反応が見られました。不安が強い人は、ストレスをかけても大きな身体反応がみられず、反対に幸福感が強い人は一時的に反応が出ても、すぐに回復する傾向がみられました。このような結果が出た理由は、不安が強い人は心身の疲弊によってすぐに身体反応が表れず、幸福感が強い人は自信や安心感を持っているためストレスからの回復が早かったからと考えられます。
ストレスからの回復を早めるトレーニング
そして近年、カウンセラーが適切な介入を行えば、不安が強い人のストレスもコントロールできることがわかってきました。有効な方法の1つが、「SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)」です。このトレーニングではストレスがかかる場面を想定し、用意したセリフでロールプレイングをするなどして、模擬的にうまくいく体験をします。すると「自分は問題に対処できるんだ」という自信や安心感が持て、幸福感が強い人と同じようにストレスからの回復が早くなるのです。
今後さらにストレスの仕組みがわかってくれば、学校や災害支援といったカウンセリングの現場で、より効果的な支援方法が開発されるでしょう。
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別府大学文学部 人間関係学科 教授矢島 潤平 先生
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