言語を学ぶとともに文化や歴史を知りコミュニケーションを深めよう
スペイン語から広がる世界
大航海時代に世界の大海原に乗り出したスペインは、ダイナミックな歴史や数多くの植民地を持った国です。そのため、現在でもスペイン語は本国だけでなく、中南米を中心に20カ国以上の公用語であり、世界で4番目に多く話される言語です。言語を専門的に学ぶ時は、読み書きのほかにその言語を使う国の文化や地域社会の実情、そして歴史的背景を理解する必要があります。
言語を使う国の背景を知る
現在、メキシコをはじめとした中南米諸国から、数多くの移民がアメリカに流入しています。スペイン語を話す、ヒスパニック系といわれる人々です。彼らは全米人口の16.2%にあたる5,500万人おり、さらに不法労働者が1,100万人いるとされますが、英語を話せない人が多く、満足な就職も教育も受けられない状況があります。そのためアメリカでは「ヒスパニック系=貧困」というイメージがつきまとい、彼らの社会的地位に影響を及ぼしています。
トランプ政権時代は不法移民の締め出しに向かいましたが、実はアメリカと中南米の対立は、今に始まったことではありません。19世紀半ばの「米墨(べいぼく)戦争」にさかのぼって考えなければなりません。これはスペインから独立間もないメキシコとアメリカとの戦争で、勝利したアメリカは、当時メキシコ領だったテキサス州やカリフォルニア州などの広大な土地を併合しました。こうした歴史が両国の関係に影響を及ぼしているのです。
深いコミュニケーションを実現するには
スペイン語を使えると、中南米の旅行にほぼ不自由しません。またビジネスでグローバルな国際社会に出るなら、さらに英語を含む多言語の知識があるとチャンスが広がります。そして深いコミュニケーションを実現するには、徹底した語学習得とともに、相手の文化や習慣、考え方を尊重する気持ちが大切なのです。また過去の歴史を知ることが、現代の問題解決の一助になるはずです。
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先生情報 / 大学情報
京都外国語大学 外国語学部 スペイン語学科 教授 牛島 万 先生
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