AI活用で、進歩する「画像診断技術」
画像診断の始まり
ウィルヘルム・レントゲンがX線を発見したのは100年以上前の1895年です。それ以来、X線写真は主に骨や肺の病変を写す画像診断として利用されてきました。画像診断は体の外からは見ることのできない体内の様子を可視化するものです。現在は超音波検査やX線CT、磁気を用いたMRIなどによる人体の輪切りの画像表示やがんなどを光らせる核医学検査など、画像診断は著しい発展を見せています。
画像診断におけるAI(人工知能)技術
画像診断の分野におけるAI技術は、1)きれいな画像を作成する撮像技術の領域と、2)画像診断の補助をめざした診断領域での研究が進められています。撮像技術の領域では、X線照射量を減らしたCT撮影や撮像時間を短縮したMR撮像でも画像が劣化しないように補正を行うAIを用いた画像補正技術が研究されています。これにより患者被ばくの軽減や検査時間の短縮が可能となります。また、画像診断の領域では、見つけにくい病変の検出や、画像に現れた病気の病名の候補をあげる診断補助の機能を持ったAIなどが研究されています。
AI技術の中には、すでに実用化されているものや間もなく実用化されるものがあります。これらを技術開発し、それらを用いて中心となって医療を実践するのは、診療放射線技師であり、放射線科医師です。そして、AI技術の臨床応用は両者の協力のもとに発展するものです。
小腸の病気を診断する新技術
小腸には炎症性疾患やがんなど多くの病変が発生しますが、小腸は胃と大腸の間に位置して内視鏡が届かないため、病気の発見や診断が困難です。このように診察困難な小腸病変の診断においては、CTやMRIの技術革新による診断技術の進歩の結果、放射線科が重要な役割を果たしています。また、MRIで小腸の動きを観察し、腸の機能をコンピュータで分析評価する新技術も研究されています。これにより、下痢や腹痛を起こす神経性の病気など、内視鏡では見つけられない機能的な疾患についても多くが解明されることが期待されています。
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先生情報 / 大学情報
東京都立大学 健康福祉学部 放射線学科 教授 古川 顕 先生
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