データサイエンスの力で、難病の早期発見を!
赤ちゃんの便を見て病気を発見
生まれて間もない赤ちゃんに発症する病気に「胆道閉鎖症」があります。この病気は、およそ1万人に1人が発症するまれな病気であり、発見と治療が遅れると、肝機能障害などを起こす恐れのある難病です。この病気を見つけるために、現在は「便色カード」と呼ばれる色見本と赤ちゃんの便の色とを照合する方法が用いられています。もし赤ちゃんの便の色が胆道閉鎖症を発症しているときの便の色に近ければ精密検査を行うのです。一方、この方法は、常に便色カードを持ち歩く必要がありますし、人間の目で見て色を判断するため、どうしても主観的な判断に委ねられてしまいます。
スマホのアプリで画像診断
こうした欠点を補うために、便の色から赤ちゃんが胆道閉鎖症であるか否かを自動的に判断してくれるアプリが開発されました。赤ちゃんの便を写真に撮ると、画像がモバイル端末であるスマホからサーバーに送られ、AIが病気か否かを自動的に判断してくれるというものです。スマホのアプリなら、便色カードを持ち歩かなくてもすみますし、AIが客観的に判断してくれるため判断の精度も上がります。このアプリには、データサイエンスの力が活かされています。これまで蓄積された胆道閉鎖症の患者のデータを用いて自動判定の手順を構築することにより、AIが画像解析に基づいて病気の可能性を客観的に予測してくれるのです。AIによる判断の精度は高く、このアプリを利用することで実際に病気を早期発見できた例もあります。
医療に広がるデータサイエンスの力
このアプリが使用されることによって、データの収集・蓄積が自動化されます。また自動判定の手順にディープラーニング(深層学習)という手法を取り入れることで、さらに精度が上がることが期待されています。
データサイエンスは今やあらゆる分野で活用され始めています。特に医療分野では、新しい治療法や治療薬が有効であるか否かの検証など、さまざまな局面においてデータサイエンスが用いられています。
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先生情報 / 大学情報
京都女子大学 データサイエンス学部 データサイエンス学科 准教授 林 邦好 先生
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