ものづくりのための、「データサイエンス」
新たな領域から情報を見つけ出す
私たちの身の回りには、多種多様なデータが大量に存在しています。その中にはこれまで気づかなかった領域があり、そこに眠っているデータを分析し、有益な情報を抽出するのがデータサイエンスです。ばらつきのあるデータの性質を調べて可視化したり、大きなデータから抜き取った一部のデータから元の大きなデータの性質を把握したりなど、統計学を基本とする学問領域です。広い意味では人工知能(AI)もデータサイエンスにおける一つの手法に含まれます。
データサイエンスで故障を回避
製造業における製品の故障のクレームは、企業イメージにも社内の士気にも影響するため、故障しない製品づくりが求められます。一つの製品はさまざまなパーツの組み合わせであり、それぞれのパーツも、どんな条件下(温度や湿度、電圧など)で使われるのか、使用時のストレスはどれくらいか、予算内に収めるにはどの種類を選べばいいのかなど、設計に影響する要因は複雑かつ膨大です。しかしデータサイエンスを活用すれば、事前に不良品をふるい落としたり、適した組み合わせを絞り込んだり、故障の予測ができたりと、最適な意思決定を導き出すことができ、これを設計に生かすことができます。
ものづくりの現場にデータサイエンスを
データサイエンスによるデータ分析は、作業の効率化やコスト削減、リスクマネジメントなど、課題解決の意思決定に役立つことから、近年は企業の注目度も高く、事業戦略やマーケティングなどに利用され多くの価値を生み出しています。しかし製造業ではあまり普及していません。ものづくりの現場を熟知し、なおかつデータを分析しビジネスに結びつけられる人材が不足しているためです。
ものづくりは日本の強み、と言われてきましたが、データ活用に関してはまだまだ遅れています。日々、蓄積されるさまざまなデータから新しい付加価値を見つけ出すデータサイエンスは、これからの日本の製造業には必要不可欠であり、早期の普及が望まれています。
参考資料
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先生情報 / 大学情報
西日本工業大学 工学部 総合システム工学科 機械工学系 教授 石田 雄二 先生
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