多様性が保育を変える! 子どもの個性を生かすインクルーシブ保育
子どもたちの多様性
保育の現場には、発達障がいのある子や経済的に困窮している家庭の子、外国にルーツのある子などさまざまな背景を持つ子どもがいます。従来の保育方法が通用しないこともあるため、子どもの多様性を受け入れる保育環境や保育方法を工夫していくことが必要になります。保育士が「困った」と思う子どもの行動には、その子なりの理由や意味が込められています。読み取ることが難しいこともありますが、根気強く子どもに向き合い理解しようをすることで新たな保育が生まれてきます。
保育を見直すきっかけに
こんな事例があります。じっとすることが苦手なAさんが、砂場の泥んこに思いっきり飛び込んだことがありました。保育士は、しばらく様子をみることにしました。すると、周りのおとなしい子や泥んこ遊びが好きではなかった子がAさんのように大胆に遊び始めたのです。それまでの遊び方では経験できなかった面白さを知った子どもたちは、さらに楽しくなるように工夫し始め、思いがけない積極的な一面を見せるようになりました。
このように子どもの多様性は保育現場に新たな気づきを与えます。また、それまでAさんは遊びの時間が終わっても気持ちの切り替えが難しい子でしたが、満足のいくまで遊ぶことで様子が変わりました。保育士は、Aさんの気持ちだけでなく、Aさんが周囲に及ぼす良い影響を知ることになったのです。
一人ひとりの違いを生かすインクルーシブ保育
保育現場では子どもの多様化が進んでいます。障がいの有無や国籍の違いなどで区別するのではなく、違いを受け入れ生かすことで、Aさんの事例のように子どもの可能性を引き出し、より豊かな保育が展開される可能性があります。
どの子も排除されることなく、尊重され、一人ひとりの良さが生かされて周りの子どもたちと共に育ちあう保育は、インクルーシブ保育として保育現場にその名が浸透しつつあります。保育者には、より深く子どもを理解し、目の前の子どもの多様な姿から新たな保育を創りあげていく専門性が求められるようになってきました。
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先生情報 / 大学情報
帝京大学 教育学部 初等教育学科 こども教育コース 教授 芦澤 清音 先生
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