講義No.10547 児童学 教育

多様性が保育を変える! 子どもの個性を生かすインクルーシブ保育

多様性が保育を変える! 子どもの個性を生かすインクルーシブ保育

子どもたちの多様性

保育の現場には、発達障がいのある子や経済的に困窮している家庭の子、外国にルーツのある子などさまざまな背景を持つ子どもがいます。従来の保育方法が通用しないこともあるため、子どもの多様性を受け入れる保育環境や保育方法を工夫していくことが必要になります。保育士が「困った」と思う子どもの行動には、その子なりの理由や意味が込められています。読み取ることが難しいこともありますが、根気強く子どもに向き合い理解しようをすることで新たな保育が生まれてきます。

保育を見直すきっかけに

こんな事例があります。じっとすることが苦手なAさんが、砂場の泥んこに思いっきり飛び込んだことがありました。保育士は、しばらく様子をみることにしました。すると、周りのおとなしい子や泥んこ遊びが好きではなかった子がAさんのように大胆に遊び始めたのです。それまでの遊び方では経験できなかった面白さを知った子どもたちは、さらに楽しくなるように工夫し始め、思いがけない積極的な一面を見せるようになりました。
このように子どもの多様性は保育現場に新たな気づきを与えます。また、それまでAさんは遊びの時間が終わっても気持ちの切り替えが難しい子でしたが、満足のいくまで遊ぶことで様子が変わりました。保育士は、Aさんの気持ちだけでなく、Aさんが周囲に及ぼす良い影響を知ることになったのです。

一人ひとりの違いを生かすインクルーシブ保育

保育現場では子どもの多様化が進んでいます。障がいの有無や国籍の違いなどで区別するのではなく、違いを受け入れ生かすことで、Aさんの事例のように子どもの可能性を引き出し、より豊かな保育が展開される可能性があります。
どの子も排除されることなく、尊重され、一人ひとりの良さが生かされて周りの子どもたちと共に育ちあう保育は、インクルーシブ保育として保育現場にその名が浸透しつつあります。保育者には、より深く子どもを理解し、目の前の子どもの多様な姿から新たな保育を創りあげていく専門性が求められるようになってきました。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

帝京大学 教育学部 初等教育学科 こども教育コース 教授 芦澤 清音 先生

帝京大学 教育学部 初等教育学科 こども教育コース 教授 芦澤 清音 先生

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教育心理学、保育臨床学、保育の心理学

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メッセージ

乳幼児期は、人の発達がもっとも著しい時期です。日々変化する子どもを理解し、その成長を支えていくのが保育の仕事です。子どもが安心して自分の力を発揮し、仲間と関わりながら成長するためのより良い環境を、保育者は子どもに寄り添いながら探求していきます。また、保護者の子育てを支援するのも保育者の役割です。家庭の背景が多様化し、さまざまな子どもと保護者を支える保育者の役割はますます大きくなっています。難しいけれど、その分やりがいのある専門性の高い仕事です。大学で高い専門性を身に着け、感性を磨いてください。

先生への質問

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  • 先輩たちはどんな仕事に携わっているの?

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医療系・文系・理系と幅広い分野の10学部32学科を擁する総合大学です。文系学部を中心とした八王子キャンパスでは、約15,000人の学生が学んでいます。東京多摩丘陵の自然豊かな景観に位置し、キャンパスリニューアルにより新校舎棟「SORATIO SQUARE(ソラティオスクエア)」「帝京大学総合博物館」をはじめとした、施設・設備が整備され、教育指針である「実学」「国際性」「開放性」を柱に、自ら未来を切り拓く人材を育成しています。