赤潮発生のメカニズムとは? 海の色を左右する植物プランクトン
赤潮発生のきっかけとは
2021年9月、北海道沿岸でサケやウニが大量死しました。原因として考えられているのが「赤潮」です。一般に赤潮は、海が富栄養化し植物プランクトンが異常に増えると発生します。こうした背景はわかっていますが、富栄養化のきっかけや増殖するプランクトンの種類は事例ごとにさまざまです。
例えば、天候の変化は赤潮を引き起こすきっかけのひとつです。東京湾では大雨のあとに海が穏やかな晴れの日が続くと赤潮が発生しやすくなります。川から大量に流れ込む水には栄養塩が多く含まれており、流れが穏やかなときは海面付近にたまってなかなか沈みません。すると流れ込んだ栄養塩を使って植物プランクトンが増殖して、赤潮になってしまうのです。
どの種が赤潮を起こすか?
植物プランクトンの中には、特定の魚や貝と相性が悪いものがおり、そうしたプランクトンが増えると北海道でおきたように、サケやウニなどの大量死を引き起こします。これは赤潮にならない低い密度で増えた場合にもおきることがあります。問題となる赤潮原因プランクトンの増殖しやすい環境、他のプランクトン種との競合などを詳細に調べれば、沢山いるプランクトン種の中から何故、特定の種が赤潮を起こすのか理解が進み、赤潮発達の予測に役立つかも知れません。
海の色に応じて色素を変えるプランクトン
海は沿岸では緑色に見え、外洋に行くほど青く見えます。この緑と青のコントラストを作り出しているのも植物プランクトンです。ところが、周囲の環境によって色素を変える事が出来るプランクトンもいます。沿岸域では緑色を吸収する色素を作りだしますが、同じプランクトンは、外洋では、青色を吸収する色素を多く持つようになるのです。
このように植物プランクトンと環境には深い関係があります。また、プランクトンは世代交代が早く、競争や進化などを比較的短期間で調べる事ができます。バケツ一杯の水に生態系が詰まっているので、群集構造の成り立ちなどを調べるモデルとしても注目されています。
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東京海洋大学 海洋資源環境学部 海洋環境科学科 准教授 片野 俊也 先生
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