食品ロス削減、SDGs、健康にも貢献する食品機能の解明
健康に役立つ食品って?
世の中には、健康食品やサプリメントがあふれていますが、実は科学的な根拠によって健康の維持増進に役立つことが認められた成分を表示できるのは「保健機能食品」のみです。「保健機能食品」には、国が審査し許可を与えた「特定保健用食品(トクホ)」や、国が定めた規定されたビタミンやミネラル、脂肪酸などの機能を事業者が表示できる「栄養機能食品」、企業などの責任において保健機能の表示ができる「機能性表示食品」があります。現在、「保健機能食品」として数多くの製品が販売され、研究も進められています。
廃棄されるものを資源として活用
食品が持つ栄養成分の機能性を明確にすることで食品に付加価値が生まれます。例えばコレステロール低下作用があるイソフラボンは大豆に含まれる有名な機能性成分です。こうした機能性成分を廃棄されるものから抽出できれば、食品ロス削減やSDGs(持続可能な開発目標)への貢献にもつながるでしょう。また、ブルーベリーなどに含まれるポリフェノールは抗酸化作用が強く、生活習慣病などの予防・改善に有効であることがわかっていますが、実は果実だけでなく、廃棄される葉にも含まれています。その有効成分を損なわないように加工し、さまざまな葉を使ったお茶の開発なども行われています。
食品の機能解明が人にも地球にも役立つ
農産物は地域資源です。形や色が悪いだけで廃棄される農産物が、機能性成分を抽出・加工した新たな商品になれば地域に貢献できるでしょう。また、漢方薬にも使われるキノコ類は地球上に1万数千種類あるとも言われていますが、機能性成分が解明されているのはほんの一部です。このような未利用資源に含まれる機能性成分は、まだたくさんあります。
食は人間の生命と深く関わっています。我々の健康に寄与する新たな食品の機能を解明することで、多くの人々の日々の健康維持に貢献できるでしょう。新しい資源の活用によっても、食の未来をつくることができるのです。
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先生情報 / 大学情報
佐賀大学 農学部 生物資源科学科 生命機能科学コース 准教授 井上 奈穂 先生
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栄養化学、食品機能化学、農芸化学先生が目指すSDGs
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