漫画やアニメから心を探る? 学校教育での臨床心理学の役割とは

漫画やアニメから心を探る? 学校教育での臨床心理学の役割とは

漫画やアニメからわかる現代の心

近年の漫画やアニメで「異世界もの」の作品が増えているなと感じたことはありませんか? こうした最近の異世界ものの作品を分析すると、例えば「相手のステータスやスキルが可視化される」といった設定の作品が多いことに気づきます。このことは、現代がSNSでのフォロワー数、動画の再生数など、数値化された指標による評価が優勢な世界になっていることと通じているのではないか、と見ることもできます。漫画やアニメは、私たちが今どんな時代を生きているのか、そしてその心が世界からどんな影響を受けているのかを探るための大きなヒントになり得るのです。

子どもたちの心理をひも解き「窓」を探す

人が世界とつながるための、接点であり手がかりになる事柄を「窓」にたとえることがあります。
心理臨床のカウンセリングで子どもたちに関わるときに、孤独感や人付き合いの苦手意識などさまざまな要因によって、心を開いて話してもらうことが難しい場合が多くあります。そうしたときに、漫画やアニメ、ゲームなどの話題が「窓」としての役割を果たし、子どもたちが自分のことを話してくれる場面も多いです。
そうして話しながら少しずつ自分と向き合い、自分自身のことを理解していくプロセスを伴走するのが、臨床心理学の実践だといえます。

教育領域での臨床心理学の役割

学校は多くの子どもたちが過ごす場所だからこそ、学校教育の現場をフィールドとした心理臨床ではさまざまな悩みや課題にふれて考えることになります。
最近でいえば、「コロナ禍による授業のオンライン化」や「子どもたちが夢中になっているゲーム」などが、長期的に見てどのように心に影響してくるのかを考えていく必要があります。
また、教育領域では、先生方や親御さんとの連携も欠かせません。最近ではスクールソーシャルワーカーと連携することも増えています。多くの関係者と関わりながら、子どもたち一人一人の心に向き合っていくことで、臨床心理学と教育の架け橋になれるはずです。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

神戸女学院大学 心理学部 心理学科 准教授 西嶋 雅樹 先生

神戸女学院大学 心理学部 心理学科 准教授 西嶋 雅樹 先生

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臨床心理学、学校臨床心理学、心理臨床学

メッセージ

臨床心理学は、人々の当たり前の暮らしを支えることに貢献できる学問です。もしあなたが心理学に興味があるなら、高校生活の中で友だちと深く付き合ったり、家族の仕事に関心を向けてみたり、人々がどのように生きているのかに目を向けてみましょう。
また、人の心について考えるためには、自分と向き合うことも必要です。自分と向き合うためには、自分の「嫌いなこと」が手がかりになることもあります。あなたが何を嫌いと感じるか、嫌だと思うのかを突き詰めていくと、意外な形で自分を深く知るきっかけが得られることがあります。

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創立150年を迎える神戸女学院大学。徹底した少人数教育で、授業の7割が20人以下で行われ、学生と教員の距離が近く双方向で質問のしやすい環境が特長です。また、リベラルアーツのカリキュラムで実技を含む他学科の専門分野の科目を多く履修することができ、自由な学びが展開できます。「就職に強い!神戸女学院」として、人気の航空業界をはじめ、マスコミ、製造、各業界に多くの卒業生を輩出しています。2024年には国際学部と心理学部が開設され、2025年には生命環境学部※が新しくSTART!(※仮称・設置構想中)