がん治療でも重要! 患者の負担を減らし、きれいな撮影に
医療に欠かせない画像診断
MRIやCTは、病気の場所、広がり方、種類などを診断するときに欠かせない機械です。特に治療の方針を考えるうえで重要な手がかりとなるのが、病気が広がっている範囲です。例えばがんが見つかったとき、広い範囲を外科手術で切除すると患者の身体への負担が大きくなります。なるべく少ない範囲を切除するためには、画像診断でがんの広がりを正確に把握しなければなりません。
最適な数値を見つける
MRIなどで撮影した画像はデジタルデータなので、拡大するとマス目状になっています。このマス目が大きいと画像全体が粗くなり、小さいと鮮明になります。正確な診断をするためには、可能な限りマス目を小さくした画像を撮影しなければなりません。そこで、マス目の小さい高解像度の画像を撮影する研究が行われています。
例えばMRIでは、身体の部位をスライスしたような断面画像を撮影できます。断面が分厚いと調べたい箇所が見えにくくなってしまうため、なるべく断面を薄くして撮影することが重要です。しかしMRIは薄くスライスすればするほど画像が粗くなる、という課題があります。診断可能な断面の薄さ、そのとき画像がきれいになる数値の組み合わせなどが検証されています。
被ばく量の少ない撮影をする
画像診断には放射線を使ったCTも使われています。ただし画像を鮮明に撮影しようとすると放射線量が増え、患者の被ばく量が増えてしまいます。なるべく被ばく量を抑えてきれいな画像を撮るために、人体の代わりになるファントムという模型を使って実験が行われています。X線CTでは電流や電圧を調整すれば、発生する放射線のエネルギーや放射線量を変更可能です。画像がきれいに表示される電流や電圧の数値、撮影中の被ばく量などが研究されています。
また、新型のMRIなどには調整できる項目が増えているため、数値の再検討が求められることも珍しくありません。患者に負担をかけない画像診断の研究は、今後も続いていくのです。
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弘前大学 医学部 保健学科 教授 齋藤 陽子 先生
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