地上で太陽をつくる? 核融合発電の実現に向けた研究

地上で太陽をつくる? 核融合発電の実現に向けた研究

太陽を地上で再現

太陽の中心にある水素ガスは、1500万度という高温で「プラズマ」になっています。気体が高温になると電子と陽イオン(原子核)に分かれて高速で飛び回りますが、その状態がプラズマです。太陽の重力で閉じ込められた中で陽イオン同士が衝突すると、ヘリウムという別の元素に変わる「核融合反応」が起きます。このときに出る莫大なエネルギーが、太陽の光や熱の源です。
この太陽の仕組みを地上で再現し、そのエネルギーで電気を生み出そうというのが核融合発電です。その実用化に向けて、プラズマの加熱方法や閉じ込め方法、発電設備の材料・構造に関しての研究が進んでいます。

燃料は無尽蔵

核融合発電では、燃料として水素の一種である「重水素」と「三重水素」を使います。重水素も、三重水素の原料であるリチウムも海水中に含まれるので、核融合発電の燃料は無尽蔵と言えます。また、二酸化炭素もほとんど排出しません。さらに原子力発電と比べると、反応が暴走しない、反応後にできる物質はヘリウム、放射性物質である三重水素も半減期が12.5年と管理しやすいレベルであるなど、安全面でも多くのメリットがあります。

炉の材料がかなめ

核融合発電を実現するには、高温に耐え、安定的に反応を起こせる炉(反応容器)の材料が重要です。核融合発電の方式の一つ「磁場閉じ込め式」では、高速の中性粒子ビームを打ち込む、または電磁波を照射するなどして1億度まで加熱します。このプラズマは磁場の中に閉じ込められて空中に浮いている状態なので、炉の壁に直接触れることはありません。それでも最も溶けにくい金属であるタングステンがプラズマとの接触部に使われます。
現在、このタングステンにプラズマが照射された際の相互作用を原子スケールで解明する研究が進んでいます。一部のプラズマ粒子が容器の壁に当たって跳ね返るときの、粒子の回転や速度、エネルギー状態が、反応に大きな影響があることがわかってきました。こうした研究が進めば、核融合発電の実現に向けて大きな一歩となります。

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山形大学 工学部 情報・エレクトロニクス学科 准教授 齋藤 誠紀 先生

山形大学 工学部 情報・エレクトロニクス学科 准教授 齋藤 誠紀 先生

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ナノ材料科学、情報科学、プラズマ工学

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メッセージ

私はよく、木の葉が地面に落ちているのを見て、これはどういう分布になっているのだろうとか、雪が降っているときに、雪の大きさと湿度、スピードは関連があるのだろうかとか、同じ水なのに氷は透明で雪は白く見えるのはなぜだろうとか、そんなことを考えていました。あなたも日常生活のちょっとしたことで感じる疑問も大切にしてみましょう。教科書に載っていることでも、ただ暗記するのではなく、なぜそうなるのだろうとか、ひょっとしたら間違いじゃないかとか、疑問をもって考えてみると、勉強や学問が面白くなると思います。

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