自閉スペクトラム症の子どもたちの支援につなげる動画検査
就学前の子どもへの支援の必要性
自閉スペクトラム症は、対人コミュニケーションが苦手であり、物事に強いこだわりがあるといった特徴をもつ発達障害の一つです。相手の心情や、その場の状況など、あいまいなことを理解するのが難しいため、学校で対人関係が築きづらく、不登校につながる場合もあります。そのため早期診断・早期介入が大切であり、小学校入学前の子どもたちに支援が進められています。
視線が合わない特徴を評価
自閉スペクトラム症の子どもには、人と話している時に視線が合いにくいという特徴があります。その特徴を、客観的に評価することで自閉スペクトラム症を診断する、動画を使ったスクリーニング検査がすすめられています。モニター画面に1分ほどの動画を映して、画面を見る視線の動きを感知し、注視時間の割合を数値として示されます。動画には、話している人と、その横にはくるくる回る模様が出るなど、数種類の人物や模様などが映し出されます。結果を自閉スペクトラム症とされていない子どもと比較することで、自閉スペクトラム症の特徴の評価につなげるというものです。もちろん、それぞれに個性があり、自閉スペクトラム症の全員が必ずしも人の顔を見ないとは限りません。さらに、就学前の子どもは、ちょっとした物音がしただけで画像への集中力も途切れてしまうなど、検査を受けさせること自体の難しさもあります。そのため現在は、あくまでも補助的な位置づけの提案として、この検査の普及が進められています。
療育の場への利用
自閉スペクトラム症の子どもへの介入として行われているのが、個々の障害に応じて援助する療育です。開発された動画検査を療育の前後に評価し、子どもへの特徴を捉えることも行われています。現在はそれぞれの療育担当者が子どもの障害に合わせて個別的な対応をしているのに対して、客観的で統一した介入方法の提案も研究されています。そのエビデンスとなるデータとしても動画検査が活用できると考えられます。
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