女性アスリートの健康を守る栄養教育

女性アスリートの健康を守る栄養教育

過度な減量による月経異常

選手の肢体の軽快さや審美性を重視するスポーツ競技では、アスリートに減量が求められることがあります。しかし、過度な減量はエネルギーや栄養素の不足を招き、女性アスリートでは月経異常を引き起こすことがあります。長期にわたる月経異常により卵胞ホルモンであるエストロゲンが不足してしまうことで、骨がもろくなってしまうことがわかっています。また、免疫機能や、成長発達、心理面にも大きな影響を及ぼします。こういったエネルギーや栄養素の不足による健康問題を防ぐため、女性アスリートの月経に着目し、栄養摂取と代謝についての研究が行われました。

安静時の代謝量と月経異常

研究では、大学生の女性アスリートに普段通りの食事をしてもらい、その内容を報告してもらいました。また、早朝空腹時の呼気を呼気ガス分析装置で分析し、含まれる酸素と二酸化炭素の濃度などから安静時代謝量を測定しました。この測定の結果、無月経または月経が不順である人は、月経が安定している人と比べて、現在のエネルギーの摂取量に大きな違いがなくても、安静時の代謝量が下がっていることが見えてきました。

シーズンに合わせた栄養摂取のバランス

安静時代謝量の測定はコストが高く、測定条件も厳しいため、普段から現場で多くの選手に実施するには適していません。そこで、今後は現場で実施可能な方法を検討する必要があります。また、健康問題を予防するためには研究結果から見えてきた傾向を生かした栄養教育も重要となります。例えば、生理的な限界を超えて体重を軽くすることで、一時的に競技記録が向上するかもしれませんが、限界を超え続けることで身体機能が低下して競技を続けることができなくなってしまいます。アスリートとしてのパフォーマンスと競技の継続を両立するには、シーズンのオンとオフとでエネルギーや栄養摂取量を分けて考えることもあります。健康を保ちながら競技を行う体づくりのためには、栄養学の知識を状況や目的に合わせて利用することが重要なのです。

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先生情報 / 大学情報

聖徳大学 人間栄養学部 人間栄養学科 講師 本 国子 先生

聖徳大学 人間栄養学部 人間栄養学科 講師 本 国子 先生

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栄養学、スポーツ栄養学

先生が目指すSDGs

メッセージ

華やかなアスリートの世界が注目され、スポーツ栄養学という分野にも関心が集まっています。栄養学は家庭的で文系のイメージを持つ人もいますが、実際には代謝など生理学的・化学的な視点も多く、理系の知識も重要です。栄養学の知識は、健康な人をさらに健康にし、病気の予防や改善にも役立つなど、応用の幅が広い分野です。スポーツ競技や運動をする方を対象としたスポーツ栄養学もそのひとつです。栄養学は、人の日々の健康に貢献できる、とてもやりがいのある分野です。

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