子どもの「しんどさ」に寄り添う伴走支援

子どもの「しんどさ」に寄り添う伴走支援

ヤングケアラーの「しんどさ」はみえにくい

近年、ヤングケアラーに対する社会的注目が集まっています。
ヤングケアラーは、家庭のなかで大人が担うような家事・看病・介護などのケアを引き受けているため、自分より家庭を優先しないといけない「しんどさ」を抱えています。しかしながら、ヤングケアラーの3分の2が「誰にも相談した経験がない」ことが国の調査で明らかにされています。世話をすることが「当たり前」で自らをケアラーと思っていない人、親を悪く言われたくない人など、その事情はさまざまです。

アウトリーチと伴走支援

ヤングケアラーを支援するためには、子どもたちと繋がりをもつことが必要です。そのための手法が「アウトリーチ」と「伴走支援」です。
従来の社会福祉は、相談窓口に訪れた人に対応する、という「待ち」の姿勢でした。現在では、支援者自らが出向き、困りごとを抱えた人に積極的にアプローチする「アウトリーチ」が重視されています。学校や関係団体、役所などのネットワークのなかで、「気になる子ども」が見いだされることもあります。
次に、子どもたちと寄り添う「伴走支援」が重要になります。生活の主役はあくまで子どもたちで、支援者は伴走者、応援する立場です。

子どもたちのエンパワメント

伴走支援に取り組む支援団体は、子どもたちが大人の役割から解放され、「ありのままの自分」でいられる場と時間を提供します。子どもたちと夕食を囲んだり、アウトドア活動を重ねるなかで、「私も同じような経験をした」「ひとりぼっちじゃない」と感じ、子どもたちは本音を語りだします。そして、「ケアする立場」の子どもたちが、仲間や支援者から気遣われる(ケアされる)ことで、心のエネルギーを充電していきます。このように、子どもたちが力づけられることを「エンパワメント」といいます。
「ケアする側・される側」の関係は固定的なものではありません。人は、誰かに大切にされることで、誰かを大切にすることができます。社会福祉は、ケアの社会的循環を目指しています。

※夢ナビ講義は各講師の見解にもとづく講義内容としてご理解ください。

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先生情報 / 大学情報

龍谷大学 社会学部 総合社会学科 現代福祉領域 ※2025年4月新設 准教授 砂脇 恵 先生

龍谷大学 社会学部 総合社会学科 現代福祉領域 ※2025年4月新設 准教授 砂脇 恵 先生

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メッセージ

「どんな人でも肯定される」というのが、社会福祉の学問のスタートラインです。そのため、社会福祉を学ぶということは、自分自身を深く知ることにもなります。自分が捉われている、こうあらねばならないという思い込みから解放される学問なのです。加えて、人々の「生きづらさ」を理解し、その背景にある社会問題と解決策を考えるために、社会学や経済学、心理学など多様な学問領域の知見も活かしながら発展させる、学際的な側面もあります。人間を中心として社会を幅広く学べる学問なので、ぜひ関心を持って学びに来てください。

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あらゆる「壁」や「違い」を乗り越えるために、「まごころ」を持ち、「人間・社会・自然」について深く考える人を育む。それが、龍谷大学の教育のあり方です。自分自身を省み、人の痛みに感応して、他者を受け容れ理解する力を持つ。人類が直面するリアルな課題と真摯に向き合う。そして様々な学びを通じて本質を見極める目を養い、自らの可能性を広げていきます。